タイの自動車・バイク部品産業は完成車業界と比例し盛況であり、メンテナンス需要などによりさらなる需要を見込むことも可能となっている。
では今後予測できる自動車・バイク部品産業とはどのようなものだろうか。
今後も引き続き3-5%の成長が継続
具体的には2019-2021年の予想とされているが、OEM・REM生産による自動車・バイク部品の需要は継続するとみられる。
2019年の売上高は半年間の短観から予想するに前年並み、もしくは3%程の増加となる。
さらにその先の2022-2023年に関しては各機関によって予想が異なり、2-5%で前年比成長が継続するとする機関もあれば、KrunsriBankのように成長度は鈍化するとする見方もある。
成長度の鈍化に作用する要素としては
自然災害の増加
主要産業である農業が大きな打撃を受け、タイ国内全体の景気や消費が悪化する
というものがあり、実際に何度も自然災害(洪水、干ばつ)後の景気後退は起こってきた。
買い替え需要と政府援助
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2012年に政府が「ファーストカー補助金」として支援し、多くの人が自動車購入を果たした。
その需要は大きく、計算上道路面積に対して自動車保有台数が多くなりすぎてしまったため、首都バンコクはBBC調べによると世界一渋滞が発生する都市と認定されるほどだった。
ファーストカー補助金利用世代が買い替えの時期を迎える
これが今後の需要を大きく後押しする要因の一つである。
低中所得者国民の足として自動車と同等の販売台数を誇るバイクに関しては今後も販売台数は継続すると見られ、大きく関係する要因は
低所得者層への政府援助
Thai Credit Guarantee Corporation(TCG)によりバイクタクシー業者への特別金利による貸し付け
が見られる。
タイでは各家庭の抱える貸付負債額(借金)が大きな問題となっており、違法業者からの貸し付けが横行している。
今回の政府援助や正当な金利での貸し付けにより、タイ国民や事業者の金融リテラシーが向上し自動車・バイク購買へとつながると期待されている。
外資系部品メーカーの参入と電気自動車シフト
近年、主に日本のSMEsがタイに拠点を作り部品製造を行う傾向が見られる。
タイ国内には1,100の企業が自動車・バイク部品製造企業として登録されており、それらの企業にとって日本のSMEsが今後の直接のライバルになると見られている。
また、タイ政府が掲げている
2036年までにタイ国内で電気自動車登録台数を120万台にする
という目標も、タイ国内の自動車・バイク部品業者を悩ましている。
現在のエコカーの主流派はHV(ハイブリットカー)、PHV(プラグイン・ハイブリットカー)でありエンジンも搭載されているために既存の技術が通用するが、電気自動車になった場合にエンジン系、ブレーキ系、油圧系をはじめ既存のメーカーが大きな打撃を受けると予想されている。
電気自動車のコストの大部分を占めるバッテリー技術にイノベーションが起こり、低価格で飛躍的に供給が伸びることがあれば電気自動車の普及は加速度的に進むことになり、その時がタイの自動車・バイク部品製造業のXデーとなってしまうのかもしれない。
一方、TOYOTAやBMWは経済特区の恩恵を受けてバッテリー開発拠点をタイに設置し継続的な投資を表明しているために、ある日突然にタイの自動車産業が終焉を迎えることも考えにくい。