【タイの自動車業】トレンド①

日本車企業、外国車企業がタイに製造工場を建設し製造を行っているために、自動車製造業は現在タイ国の主要産業となっている。

 

世界的にエコカーや電気自動車への注目が高まってゆく中、タイ国内の自動車産業はどのようなトレンドを持っているのだろうか。

 

転換期にある自動車業界-今後の予想が立てづらい

 

2019年はタイの自動車販売が大きく伸びず、結果的に国内販売台数は前年を下回った。

 

一方、2020年以降販売の注目新型車の発表も行われたので、新車購入を控えている消費者の「新型車の発表を待ってからの購入決断をする」という行動心理も関係したとみられる。

 

ファーストカー補助金世代の買い替え時期

 

2012~2013年にタイ政府が一般市民の自動車購入のために行った最大10万バーツ(約35万円)の補助金政策で新車を購入した場合、購入者は「5年間実車を維持」しなければならないという規定のため、補助金政策終了後は新車販売が落ち込む状況にあった。

 

しかし2019年でその規定も満了するために、多くの消費者が自動車買い替えに踏み切るために、2020年以降は自動車販売台数が大きく拡大すると期待されている。

 

他方、タイ国内の経済成長は鈍化しているためにファーストカー補助金規定が満了しても自動車を修理しながら使用する層が多くなる、もしくは中古車市場に多数の自動車が流通するようになるなど、新車購入にとって逆風になる市況状況も予想されている。

 

 

世界的なエコカーの流行と電気自動車のイノベーションの波はタイの自動車生産にも影響を及ぼし、各メーカーはタイ国内でのエコカーの生産、電気自動車の開発を行うかどうかの動向に注目が集まっている。

 

タイは投資委員会(The Board of Investment of Thailand:BOI)がタイ国内で電気自動車の開発を行うメーカーの法人税を一定期間免除するなどの優遇措置を講じて自動車メーカーの新技術をタイに招致し、より一層タイ国の自動車産業を盛り上げようと励んでいる。

 

タイの自動車産業基本情報

自動車製造はタイ国政府の奨励産業となっており、その歴史は日本車への部品サプライヤーとして始まっている。

 

1975年にタイでの完成車の製造が開始され、現在まで規模を拡大しながら自動車生産が行われている。

 

現在では主にASEAN各国、日本、アメリカなどに完成車の輸出を行っており「自動車輸出黒字国」として一定の地位を獲得している。

自動車の国内販売と輸出比率 出典:タイ工業連盟( The Federation of Thai Industries: FTI )

 

タイ国内では自動車部品のサプライも行われており、完成車の80%の部品はタイ国内で調達されたものとなっている。

 

生産台数自体も1997年には36万台だったが、2018年には217万台となりタイ国内の自動車製造業の拡大を物語っている。

 

1997年から2008年までのタイ自動車産業

タイ国内ではピックアップトラックの生産を中心的に行われてきた。

 

タイ政府もディーゼル燃料の価格を引き下げるなど積極的にピックアップトラックの購入を奨励する政策を取り、さらにピックアップトラックは購入の際の消費税が3%になる(通常は7%)などの特別現在策を設けてきた。

 

その結果、タイ国内自動車生産数の70%をピックアップトラックが占めるまでになっていた。

【タイのペット業】トレンド②-タイのペット業界参入プレイヤー

タイ国内のペット市場は健康志向商品などの開発などと相まって拡大を続けている。

 

 

2018年度には13の新事業者が登録され、前年度18.18%の増加となった

 

投資額ベースによる統計では新規事業者はいずれも資本金が500万バーツ以下の小規模事業者ではあるが、資本金総額は1800万バーツとなり前年比21.74%の成長となった。

 

ペット事業が拡大している背景にはタイ国民のライフスタイルが大きく関係していると考えられ、特に首都バンコクを中心に都市型住宅での居住に伴って家屋内での小型ペットの飼育が進んでいる。

ペット事業新規参入者数 出典:商務省流通経済局(DBD)

 

タイ国内の2019年のペット業界参入事業者数は59社

 

資本金は9400万バーツになるが、事業者の83.18%は資本金500万バーツ以下の小規模事業者によるペット用品の卸業、小売業となっている。事業の登記は首都バンコクが23件(2018年)、資本金ベースでは4000万バーツとなり、新規事業登録者のほとんどがバンコクに登記している様子を伺うことができる。

 

ペット事業の39%はバンコクで展開されている

 

バンコクでのペット事業はタイ国内の39%を占め、3900万バーツの市場規模となっている。

 

タイ南部が次に多く10の事業者が17%を占め2000万バーツとなっている。

 

県別にみるならプーケットが5の事業者、ノンタブリーは4の事業者、チェンマイも4の事業者が展開されており、交通状況や人口の多さによる。

 

 

外国人の参入も一定数認められている

 

外国人資本による同産業への参入は2018年現在で1200万バーツが報告されている。

 

外国人の参入は2017年ごろから増加し始め、シンガポール、ドイツ、日本などのプレーヤーが参入している。

 

ペット事業の82%がタイ国内企業、残りの18%は外国人資本となっている

 

外国人資本は1200万バーツとなっており、とくにシンガポールが2.5%、ドイツが2%、日本が2%、その他が11.5%となっている。

 

ペット産業のタイ国内資本と外国資本の割合

 

ペット産業の成長率は年間30%以上となっている

 

特に2018年は前年比35.37%の上昇となり、市場からの利益は4000万バーツとなっている。

【タイのペット業】トレンド①-タイのほぼすべての家庭はペット所有

統計上タイ国内のほぼすべての家庭でペットが飼育されている。

 

ペットとして人気なのはイヌ、ネコ、ウサギ、鳥となっている。

タイ国内の正確な動物頭数は把握されていない

 

タイにはペットを登録する仕組みがなく、狂犬病のワクチン接種義務などのないためにペットの正確な頭数の把握はされていない。

 

農業・共同組合省畜産局による統計を参考にするとイヌは1040万頭とされている

 

しかし、上記の数値には首都バンコクが含まれておらず、ペットの登録義務もないために参考数値とされている。

 

ネコは550万頭が把握されているが

 

イヌ・ネコの99.58%は飼い主が把握されているペットとされている

 

わずか0.42%となる23,000頭は飼い主がいない「野良犬・野良猫」とされている

 

ペット産業は拡大を続けている

 

特にペットフードはタイ国内での製造も積極的に行われており、輸出量が大きくなっている。

 

2018年のペットフードの製造量は2013年と比較すると51%の拡大となっている。

 

2018年のペットフードの輸出量は390億バーツとなり前年比10.97%の増加となっている。

 

近年ではペット用品の健康志向やペット医療も発展し、タイ国内のペットの寿命が延びていることもペット産業の成長を促進している要因となっている。

【タイの倉庫業】トレンド⑤-投資の動向

タイ国内の倉庫業界は一般倉庫の需要が高く、温度管理倉庫やハイテク型倉庫の需要は現在も伸び悩んでいる。

 

倉庫業界の投資面での今後の動向を探ってみたい。

投資面でも一般倉庫に対する関心が高い

 

不動産業や建設業の成長は今後も続くと考えられており、建設資材などを保管する一般倉庫の需要は今後とも継続する。

 

温度管理倉庫も新興工業団地を中心に建設されているが、現段階で需要が大きいわけではない。

 

倉庫業は現在バンコク近郊から東部に向けてその経済活動が活発な地域を中心に拡大している。

タイ国内の経済特区と経済発展地区

 

製造業基地地域

 

新興工業団地やEECなどの公的資金投入エリアは倉庫業の成長が最も見込める地域となっている。

 

消費者近郊地域

 

小売業の発送基地として各地域に一定数の倉庫が必要になる。特に近年はE-commerce市場のための倉庫の需要が高まっている。

 

特に各県にとって交通の要所となる県(チョンブリ県、ピサヌノーク県、ナコンラーチャシーマー県、コンケン県、ウボンラーチャターニー県、スラーターニー県)での倉庫需要は高い。

 

国境地域

 

タイは輸出黒字国として、今後も製造した製品の輸出は国家規模で推し進めてゆくと考えられる。

 

陸続きの国境のあるタイはミャンマー、ラオス、マレーシア、カンボジア国境付近の道路環境の完全も積極的に推し進めており、ロジスティック産業をThailand4.0の主要産業に据えている通り政府投資も行っている。

 

いずれにせよタイ近隣諸国の経済的成長はタイ国内の市場拡大にも寄与し、タイ倉庫業の成長にも大きく関係し続けると考えられている。

 

タイ近隣諸国の実質GDP予想 出典:世界銀行

【タイの倉庫業】トレンド④-今後の動向

タイの倉庫業の動向は一般倉庫は増加中であることに対して温度管理倉庫は伸び悩んでいる。

 

また、倉庫業はバンコク近郊やEEC経済圏などで増加している。

 

2019-2021年の倉庫業市場は横ばい

 

ロジスティック産業は成長基調が続き、製造業を中心に他の産業も成長が期待されており倉庫業も期待値は少なくない。

 

タイ国内全体ではなく、他の産業の投資が進んでいる地域での倉庫業界の成長は期待できる。

 

一般倉庫業に対する市場の需要は緩やかに増加

 

2018年にタイ国軍事暫定政権後初の普通選挙が行われ、それ以前に発表された経済政策が継続されるかどうか注目されてきた。

 

その中にはEEC経済圏を中心とした経済活動を行うよう明記した「Thailand4.0」政策なども含まれ、ロジスティック産業を含め多くの市場関係者が注目していた。

 

選挙の結果、前政権の方針継続が決定され多くの投資家がタイ国内の産業への投資を継続すると思われ、タイ国内の市場は倉庫業を含め安定を取り戻したように見える。

タイ国内市場への投資状況 出典:国家経済社会開発庁(NESDC)

 

日本と中国からのタイ産業への投資は継続的で、製造業市場は成長し、倉庫業の需要も大きくなると予想される。

 

E-commerceの継続的な成長が期待される

 

これらの要素によってタイの一般倉庫業の成長基調が予想されている。

タイのE-commerce市場成長 出典:デジタル経済社会省(ETDA)

 

 

【タイの倉庫業】トレンド③-タイの倉庫業分布

タイ国内の倉庫業は一般倉庫業を中心として成長が続いており、現在も700以上の企業がプレーヤーとして参戦している。

 

ではタイ国内での各企業の分布はどのようになっているのでしょうか。

 

倉庫はバンコク近郊、特にEEC圏内に建設されている

 

バンコクから少し離れた地域では「東部経済回廊“Eastern Economic Corridor(EEC)”」が現在も成長しており、サムットプラガーン県、アユッタヤー県、チョンブリ県、チャチュンサオ県での開発が目立っている。

 

現在、一般倉庫に関しては32.6%がサムットプラガーン県に設置されている

 

それ以外の県の一般倉庫分布はチョンブリ県21.0%、アユッタヤー県13.1%、チャチュンサオ県11.4%となっている。

 

これらの県には新規工業団地が建設され、経済特区と指定されていることから法人税免除などの特権を目当てに外国企業が誘致されており、その流れに伴って倉庫業界プレイヤーも参入している。

 

またEECエリアはタイ最大の貿易港レムチャバン港や主要国際空港のスワンナプームにも非常に近く、物流面でも多くの利点がある。

一般倉庫面積シェア(エリア別) 参照:WHART

 

稼働率と料金相場に見る一般倉庫業

 

EECエリアを中心に一般倉庫が建設され多くのプレーヤーが参戦しているが、2018年度の一般倉庫稼働率を見るとバンコクやパトゥムターニー県、ランプーン県、コンケン県などの地方都市の稼働率が高いのが分かる。

 

これは地場産業が盛んな地域は引き続き、各メーカーや小売店による倉庫の利用が継続しているためとみられる。

 

一方、新規参入者も少なく飽和状態の劇的な改善は考えにくい。

 

現在ではタイの新規産業はバンコク近郊に集中する傾向にあり、倉庫業も地方での新規事業者は非常に少ない。

 

一方EECエリア内の稼働率は現在は低いものの、工業団地の成長に伴って需要が伸びると見られている。

一般倉庫稼働率(エリア別) 出典:WHART

 

貸倉庫の料金相場

 

貸倉庫の料金相場はバンコク、サムットプラガーン県が高い傾向にあり、地価と需要によって料金が高くなっていると考えることができる。

 

サムットプラガーン県やチャチュンサオ県は料金相場に幅があり、新しい倉庫とそうではないものなど選択の幅が広くなっていることもわかる。

一般倉庫料金相場(エリア別) 出典:WHART

 

モダン倉庫(温度管理倉庫)は市場縮小傾向にある

 

2012年からタイの水産業で大きな問題となってきた養殖エビ早期死亡症候群(EMS)問題により、水産物の出荷量が減少してきた。

 

そのためにタイ国内の温度管理倉庫の需要は少なくなってきている。

 

水産業加工業者の中でも自社倉庫を建設し、製造量に合わせた自社管理する企業が増えている

 

一方、青果管理倉庫は需要が大きく天候が良好で、生産物流通量増加に対応するために温度管理倉庫を利用する事業者が増えている。

 

サイロと穀物倉庫

 

2011-2013年に政府によって行われた「コメの買い上げ政策」によって通年よりも5倍の在庫量が発生し、2012-2015年までは大量のサイロが建設された。

 

一方で、「コメの買い上げ政策」実行時には1800万㌧も発生していたコメの在庫が、極端な政策が停止した2014年以降は300万㌧ほどになってしまい、既に建設されたサイロの需要が極端に減ってしまった。

温度管理倉庫とサイロ企業数 出典:商務省流通事業開発局(DBD)

【タイの倉庫業】トレンド②-近年の状況

タイの倉庫業はロジスティック産業の一端として成長の一途をたどってきた。

 

現在までの近況はどのようなものだろうか。

 

2014までは大きな成長、現在は飽和状態

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2014年までの4,5年間は倉庫業に関する積極的な投資が行われ、倉庫業企業が700ほどになる。

 

2014年以降は倉庫業企業は700ほどでの推移を続けている。

タイ国内倉庫業者数 出典:タイ商務省流通事業開発局(DBD)

 

トラディショナル倉庫は全体の77%

 

現在のタイ国内倉庫業の中でトラディショナル倉庫(一般倉庫)は全体の77%となり、市場の需要も最も高い商品となっている。

 

実際に2017年度は倉庫業全体の収益の88%はトラディショナル倉庫からもたらされている。

 

2011-2012年のバンコク洪水後に一般倉庫への投資が加速している

 

バンコク大洪水ではバンコク近郊の大型工場団地も被害を受け、倉庫が水につかったことで製品がダメになり甚大な被害を受けた。

 

洪水後に大型工場団地の復興が行われると同時に、バンコク東部への新たな工業団地の建設が始まった。

 

タイ国投資委員会(BOI)による経済特区の拡大も行われ、新たな建設プロジェクトが増大した。

 

2011年には一般倉庫企業数は451社だったが、2017年には552社と平均年2.9%の成長を続けている。

 

タイ国内倉庫面積も2011年の172万㎡から2017年には465万㎡と大きく増大している。

タイ国内一般倉庫業者数 出典:タイ商務省流通事業開発局(DBD)

 

2018年は410万㎡の倉庫が賃貸されており、前年度比較11.8%の成長が見込まれている

 

近年はE-commerce、貿易企業による倉庫利用が大きくなっている

 

E-commerce販売企業は主に中小企業となっており、自社倉庫ではなく倉庫の賃貸によって業務を行っている。

 

貿易を行っている企業や商社も貸倉庫によって業務を行っており、現在のタイ国内の一般倉庫の稼働率は80%以上の値をキープしている。

 

 

【タイの倉庫業】トレンド①

タイでは製造業の発展と共にロジスティック分野でも政府主導で産業の成長が促進されている。

 

実際にタイ政府による国内産業けん引方針「Thailand4.0」の中でも、主要産業の中にロジスティック産業が含まれている。

 

タイの倉庫業傾向の近年の傾向-供給過多

 

タイ国内産業の発展に伴い特に、国内需要の多い製品群のための倉庫需要も増加している。

 

農業、電化製品などは製造後の国内消費率が高く、各プレーヤーが自社倉庫を持たないために貸倉庫によるロジスティック面での中継基地を確保している。

 

一方、倉庫業の新規建設ラッシュも起きており供給過多傾向も観察されている。

 

倉庫建設はバンコク近郊に大きな需要がある

 

バンコクから少し離れた地域でタイ政府が目下、力を入れている構想が「東部経済回廊“Eastern Economic Corridor(EEC)”」であり、現在先進的な産業の開発を外資企業誘致をはじめ積極的な政策を伴って行っている。

 

先進的な産業の中には、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、医療、航空、ロボットが含まれ、対象企業は経済特区内ならば法人税の一定期間免除を含む優遇を受けることができる。

 

それらの企業は開発や製造を主に先行しているために倉庫は他社の貸倉庫に頼る傾向にあり、結果としてバンコク近郊に倉庫の建設が積極的に行われている。

 

また、食品産業の多様化と国際基準順守に伴ってタイ国内のコールドストレージの構築、サイロの需要なども増している。

 

タイの倉庫業の基本情報

 

タイ国内の倉庫業はメーカーが製品を製造したのち、卸業者、もしくは小売業者に受け渡す間に製品の貯蔵管理を行う事業となっている。

 

タイの倉庫業はロジスティック産業に分類され、Thailand4.0などでも強調される、主要産業の一つである。

 

トラディショナル倉庫とモダン倉庫

 

タイの倉庫業を語る場合、一般的にトラディショナル倉庫とモダン倉庫に分けて語られるが、トラディショナル倉庫とはいわゆる一般的な貸倉庫であり、倉庫業者は電気水道設備とセキュリティを提供する。

 

トラディショナル倉庫の割合は全体の95%

 

一方、テクノロジーを導入し仕分け、温度管理、期限管理を導入している倉庫をモダン倉庫と呼び、AI導入を試みているスタートアップ企業も誕生している。

 

貸倉庫業プレーヤーもモダン倉庫への改装への着手を始め、 LEED(Leadership in Energy and
Environmental Design)基準に適応させた環境保護、省エネルギー倉庫運営もトレンドとなっている。

 

タイの倉庫業は商務省の管理下にある

Buyers first step contents

 

タイ国内の倉庫業はWarehouse Supervision Committee Silo and Cold Storageという商務省による認可が必要になる。

 

倉庫管理される商品は農作物が多くを占めているために農業協同組合との協同も重要なテーマとなっている。

 

倉庫業は製造メーカーと小売業の中間位置に属しており、他産業の影響を多く受けるとされている。

 

投資金額の回収期間も平均8-13年かかるとされており、他産業よりも長くなってしまう

 

倉庫投資は便利な土地を広大に購入するなどの高額になる場合がほとんどであり、それに対して収益が賃貸料と一定期間をかけて徴収する形になり、時間コストが高い

 

別の要素として、倉庫の建設には一般的に6-18か月の期間がかかるために、産業界の先を読む能力も必要となる。

 

タイ国内の倉庫業で必要とされる要素は以下の通りとなっている。

 

  • 日用品倉庫…小売店、住宅地に近い立地。頻繁に商品の行き来があるため。
  • 農業用倉庫…農耕地、加工工場に近い立地。輸送コストを下げるため。
  • 工業用原料、製品…工業団地内、経済特区内。BOI(投資委員会)による投資利益を受けるため。

 

タイの貸倉庫業2種類のリース契約

 

3年以内の短期契約

 

中小企業間、トラディショナル倉庫に関しては大多数が3年以内の短期契約が交わされている。

 

短期間契約によって産業の活発化を図り、メーカー・小売り中小企業への負担も減らしている。

 

3年以上の長期契約

 

大企業が使用するモダン倉庫に関する契約で多く見られる。

 

倉庫設計、建設段階から使用者である大企業も関わり専用設計を行い、貸倉庫業者が建設と運用を担当する((Ready-built warehouse方式もしくは(Build to suit)方式)。

 

貸倉庫業者も大規模なロジスティック企業が手掛け、運送などのプランニングも同時に行うケースが多い。

 

ではタイの倉庫業の市場はどうなっているのでしょうか。

 

【タイ・コメ産業】トレンド⑤-今後の動向

タイのコメ産業は様々な問題を脱却し、成長基調に入っている。

 

では今後の動向について考えてみたい。

コメ産業は年間成長率1-2%で成長を続ける

 

2019年以降の年間取引予想量は3250-3300万㌧で年間成長率は1-2%で取引が継続する。

 

2018年は気象状況が悪く(降水量減少)、2019年の収穫量は例年よりも少なくなっている。

 

一方で現在タイのコメ産業のリスクは気象状況のみであり、2020年以降は回復し例年以上の収穫量になると予想されている。

 

タイ政府主導で、水源・農地管理改革が推進される

 

2019年6月18日にはタイ内閣が「タイ国内水源管理20年マスタープラン」を承認し、タイ国内の水管理が成長すると予想され、タイで慢性的に繰り返されている洪水、干ばつは少なくなっていくと期待されている。

 

農地改革も行われており、コメ作に適さない農地をトウモロコシ、酪農、野菜の栽培へと切り替えるための政府援助金も準備された。

タイ国内精米の生産量と消費量 出典: 農業経済局(OAE)

タイ国内コメ消費量は1100-1150万㌧へ

ZERO-ONEプロジェクト

 

2018-2019年のタイ国内コメ消費量は1080万㌧だが、特に外食産業の拡大に伴い国内需要が増加すると期待されている。

 

またコメを原材料とした菓子の開発なども進められており、健康食としてのコメが注目されている。

 

輸出量は900-1000万㌧へと縮小か

 

2018年のコメの輸出量は1110万だったが、タイ政府主導コメ買取のストックがまだ残っておりこれまでは低価格であったとしても輸出量の増加が最大課題となっていた。

 

さらに、中国、カンボジア、ベトナムをはじめとするコメ生産国との競争が激化していることも輸出量が少なくなっていることの要因となっている。

 

タイのコメ輸入価格は今後も安定を継続すると見られている

  • 世界的なコメ需要は高いまま継続する
  • タイのコメの品質の高さ
  • 世界的にコメのストックは増えている中でも価格の安定は何年も続いてきた
  • 異常気象の結果、コメの価格の高騰傾向が続いている

 

コメ産業各プレーヤーの見通し

 

  1. 農家…生産量の増加自体が増えることのないために、今後も利益が大きくなることは見込めない。またコメ卸業者による低価格の買取生産資金の増大(2018年は平均10,022バーツ/㌧が10,500-10,600バーツ/㌧まで上昇予想)などのネガティブな要素がある。一方、市場でのジャスミン米の需要拡大などの積極的な要素も確認できる。
  2. 精米業者…コメの在庫量の管理、人材の不足などが当座の問題点として認識されている。都市部の生活スタイルが以前のタイ人とは異なってきており、スーパーマーケットでの商品の購入層が増え、コメの梱包もプラスチックの袋での販売量が増える。プラスチック袋、梱包用マシン、在庫管理費などが新たなコストとして発生する。
  3. コメ販売店…旧式の量り売り店舗はスーパーマーケット型プラスチック袋によるコメ販売に押される形となり、シェアが縮小している。
  4. コメ輸出者…2017-2018年から輸出量は減少している。これはタイ政府のストック減少方針のためで、世界的なコメ需要により依然として特にジャスミン米の販売によりコメ輸出業者の見通しは明るい。

 

【タイ・コメ産業】トレンド④-コメ産業の遍歴

タイの普通米・ジャスミン米・加工米の輸出入状況をみてきたが、タイ国内のコメ市場について考えてみたい。

 

タイ国内のコメ消費量は年間1000-1100万㌧

 

タイで生産されているコメは政府による買い上げが行われており、コメはタイの主食として生産者・消費者保護措置が取られている。

 

価格面でも安定し、不作であっても生産者の生活の保障がなされている。

 

2017年より政府によるコメ買上基準が変更され、動物用飼料やバイオ発電用資材として使用する、食事に適さない低品質米も政府による買い上げ対象となった。

 

その結果、タイ国内のコメ市場はより活発な成長フェーズに向かっている。

 

2012~2013年のタイ国内コメ産業の混乱

 

政府によるコメ買い上げ価格が世界的な市場価格よりも高く設定され市場の混乱を招く

 

政府の買い取り額を高値に設定してしまったため、政府買取を希望する農家が続出し2011-2012年度は2170万㌧、2012-2013年度は2250万㌧が政府により購入された(2010-2011年度は980万㌧)。

 

このような異常事態のせいで市場に出回るコメの量が減り、コメの一般卸業者が大損害を受ける事例が続出する(出典:タイ開発研究所 “ผลดีผลเสียของการจำนำข้าวทุกเม็ด”)。

 

農作物輸出業者もタイの米の実質の値上がりのために、他の米輸出国との競争に勝つことができず輸出を全く行えなくなってしまった期間さえ発生する事態となった。

 

2012-2013年度の二年間でコメの輸出量は660-670万㌧となり2011年度1070万㌧と比較しても減少の度合いが異常な数値となっている。

出典: Office of Agricultural Economics (OAE)

2014-2016年のタイ国内コメ産業の混乱が終わる

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タイ政府による異常高価格買取の結果、2014年にはタイ国内年間コメ消費量が1220万㌧に対して1776万㌧もストックされている異常事態が続いていた。

 

通常の年は平均してストックは400-600万㌧なので、1776万㌧は年間消費量をすでに上回っており、新しい生産をするほどのないほどコメ余りを生んでいた。

 

タイ政府はこの異常事態の解決のために異常ストックされているコメの早期消費を願いGtoG取引、つまり政府間取引を要請した。

 

中国、インドネシア、フィリピン、イラク、イランなどの国々からの買取要請が入り事態の鎮静化が図られた。

 

コメの卸売り企業の業績も徐々に回復し始め、国際的なタイ国産コメの価格が安定した。

2013-2018年(2019-2020年予想)のコメ生産量・消費量・輸出量・ストック量

 

2017-2018年のコメ市場は生産量、輸出量ともに拡大

 

2017-2018年は気候状態もよく、市場背景も順調なためにコメの生産量が2017年は3160万㌧(前年比11.3%増)、2018年は3220万㌧と大きく増加した。

 

タイ政府ストックは継続している物の、輸出市場をはじめ市場状況はよくタイのコメ産業にとって追い風となっている。

 

2017年コメ輸出量は1170万㌧(前年比17.8%増)、2018年は1110万㌧の輸出を行った。

 

現在のタイのコメ市場は成長基調にある。