【タイの倉庫業】トレンド④-今後の動向

タイの倉庫業の動向は一般倉庫は増加中であることに対して温度管理倉庫は伸び悩んでいる。

 

また、倉庫業はバンコク近郊やEEC経済圏などで増加している。

 

2019-2021年の倉庫業市場は横ばい

 

ロジスティック産業は成長基調が続き、製造業を中心に他の産業も成長が期待されており倉庫業も期待値は少なくない。

 

タイ国内全体ではなく、他の産業の投資が進んでいる地域での倉庫業界の成長は期待できる。

 

一般倉庫業に対する市場の需要は緩やかに増加

 

2018年にタイ国軍事暫定政権後初の普通選挙が行われ、それ以前に発表された経済政策が継続されるかどうか注目されてきた。

 

その中にはEEC経済圏を中心とした経済活動を行うよう明記した「Thailand4.0」政策なども含まれ、ロジスティック産業を含め多くの市場関係者が注目していた。

 

選挙の結果、前政権の方針継続が決定され多くの投資家がタイ国内の産業への投資を継続すると思われ、タイ国内の市場は倉庫業を含め安定を取り戻したように見える。

タイ国内市場への投資状況 出典:国家経済社会開発庁(NESDC)

 

日本と中国からのタイ産業への投資は継続的で、製造業市場は成長し、倉庫業の需要も大きくなると予想される。

 

E-commerceの継続的な成長が期待される

 

これらの要素によってタイの一般倉庫業の成長基調が予想されている。

タイのE-commerce市場成長 出典:デジタル経済社会省(ETDA)

 

 

【タイの倉庫業】トレンド③-タイの倉庫業分布

タイ国内の倉庫業は一般倉庫業を中心として成長が続いており、現在も700以上の企業がプレーヤーとして参戦している。

 

ではタイ国内での各企業の分布はどのようになっているのでしょうか。

 

倉庫はバンコク近郊、特にEEC圏内に建設されている

 

バンコクから少し離れた地域では「東部経済回廊“Eastern Economic Corridor(EEC)”」が現在も成長しており、サムットプラガーン県、アユッタヤー県、チョンブリ県、チャチュンサオ県での開発が目立っている。

 

現在、一般倉庫に関しては32.6%がサムットプラガーン県に設置されている

 

それ以外の県の一般倉庫分布はチョンブリ県21.0%、アユッタヤー県13.1%、チャチュンサオ県11.4%となっている。

 

これらの県には新規工業団地が建設され、経済特区と指定されていることから法人税免除などの特権を目当てに外国企業が誘致されており、その流れに伴って倉庫業界プレイヤーも参入している。

 

またEECエリアはタイ最大の貿易港レムチャバン港や主要国際空港のスワンナプームにも非常に近く、物流面でも多くの利点がある。

一般倉庫面積シェア(エリア別) 参照:WHART

 

稼働率と料金相場に見る一般倉庫業

 

EECエリアを中心に一般倉庫が建設され多くのプレーヤーが参戦しているが、2018年度の一般倉庫稼働率を見るとバンコクやパトゥムターニー県、ランプーン県、コンケン県などの地方都市の稼働率が高いのが分かる。

 

これは地場産業が盛んな地域は引き続き、各メーカーや小売店による倉庫の利用が継続しているためとみられる。

 

一方、新規参入者も少なく飽和状態の劇的な改善は考えにくい。

 

現在ではタイの新規産業はバンコク近郊に集中する傾向にあり、倉庫業も地方での新規事業者は非常に少ない。

 

一方EECエリア内の稼働率は現在は低いものの、工業団地の成長に伴って需要が伸びると見られている。

一般倉庫稼働率(エリア別) 出典:WHART

 

貸倉庫の料金相場

 

貸倉庫の料金相場はバンコク、サムットプラガーン県が高い傾向にあり、地価と需要によって料金が高くなっていると考えることができる。

 

サムットプラガーン県やチャチュンサオ県は料金相場に幅があり、新しい倉庫とそうではないものなど選択の幅が広くなっていることもわかる。

一般倉庫料金相場(エリア別) 出典:WHART

 

モダン倉庫(温度管理倉庫)は市場縮小傾向にある

 

2012年からタイの水産業で大きな問題となってきた養殖エビ早期死亡症候群(EMS)問題により、水産物の出荷量が減少してきた。

 

そのためにタイ国内の温度管理倉庫の需要は少なくなってきている。

 

水産業加工業者の中でも自社倉庫を建設し、製造量に合わせた自社管理する企業が増えている

 

一方、青果管理倉庫は需要が大きく天候が良好で、生産物流通量増加に対応するために温度管理倉庫を利用する事業者が増えている。

 

サイロと穀物倉庫

 

2011-2013年に政府によって行われた「コメの買い上げ政策」によって通年よりも5倍の在庫量が発生し、2012-2015年までは大量のサイロが建設された。

 

一方で、「コメの買い上げ政策」実行時には1800万㌧も発生していたコメの在庫が、極端な政策が停止した2014年以降は300万㌧ほどになってしまい、既に建設されたサイロの需要が極端に減ってしまった。

温度管理倉庫とサイロ企業数 出典:商務省流通事業開発局(DBD)

【タイの倉庫業】トレンド②-近年の状況

タイの倉庫業はロジスティック産業の一端として成長の一途をたどってきた。

 

現在までの近況はどのようなものだろうか。

 

2014までは大きな成長、現在は飽和状態

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2014年までの4,5年間は倉庫業に関する積極的な投資が行われ、倉庫業企業が700ほどになる。

 

2014年以降は倉庫業企業は700ほどでの推移を続けている。

タイ国内倉庫業者数 出典:タイ商務省流通事業開発局(DBD)

 

トラディショナル倉庫は全体の77%

 

現在のタイ国内倉庫業の中でトラディショナル倉庫(一般倉庫)は全体の77%となり、市場の需要も最も高い商品となっている。

 

実際に2017年度は倉庫業全体の収益の88%はトラディショナル倉庫からもたらされている。

 

2011-2012年のバンコク洪水後に一般倉庫への投資が加速している

 

バンコク大洪水ではバンコク近郊の大型工場団地も被害を受け、倉庫が水につかったことで製品がダメになり甚大な被害を受けた。

 

洪水後に大型工場団地の復興が行われると同時に、バンコク東部への新たな工業団地の建設が始まった。

 

タイ国投資委員会(BOI)による経済特区の拡大も行われ、新たな建設プロジェクトが増大した。

 

2011年には一般倉庫企業数は451社だったが、2017年には552社と平均年2.9%の成長を続けている。

 

タイ国内倉庫面積も2011年の172万㎡から2017年には465万㎡と大きく増大している。

タイ国内一般倉庫業者数 出典:タイ商務省流通事業開発局(DBD)

 

2018年は410万㎡の倉庫が賃貸されており、前年度比較11.8%の成長が見込まれている

 

近年はE-commerce、貿易企業による倉庫利用が大きくなっている

 

E-commerce販売企業は主に中小企業となっており、自社倉庫ではなく倉庫の賃貸によって業務を行っている。

 

貿易を行っている企業や商社も貸倉庫によって業務を行っており、現在のタイ国内の一般倉庫の稼働率は80%以上の値をキープしている。

 

 

【タイの倉庫業】トレンド①

タイでは製造業の発展と共にロジスティック分野でも政府主導で産業の成長が促進されている。

 

実際にタイ政府による国内産業けん引方針「Thailand4.0」の中でも、主要産業の中にロジスティック産業が含まれている。

 

タイの倉庫業傾向の近年の傾向-供給過多

 

タイ国内産業の発展に伴い特に、国内需要の多い製品群のための倉庫需要も増加している。

 

農業、電化製品などは製造後の国内消費率が高く、各プレーヤーが自社倉庫を持たないために貸倉庫によるロジスティック面での中継基地を確保している。

 

一方、倉庫業の新規建設ラッシュも起きており供給過多傾向も観察されている。

 

倉庫建設はバンコク近郊に大きな需要がある

 

バンコクから少し離れた地域でタイ政府が目下、力を入れている構想が「東部経済回廊“Eastern Economic Corridor(EEC)”」であり、現在先進的な産業の開発を外資企業誘致をはじめ積極的な政策を伴って行っている。

 

先進的な産業の中には、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、医療、航空、ロボットが含まれ、対象企業は経済特区内ならば法人税の一定期間免除を含む優遇を受けることができる。

 

それらの企業は開発や製造を主に先行しているために倉庫は他社の貸倉庫に頼る傾向にあり、結果としてバンコク近郊に倉庫の建設が積極的に行われている。

 

また、食品産業の多様化と国際基準順守に伴ってタイ国内のコールドストレージの構築、サイロの需要なども増している。

 

タイの倉庫業の基本情報

 

タイ国内の倉庫業はメーカーが製品を製造したのち、卸業者、もしくは小売業者に受け渡す間に製品の貯蔵管理を行う事業となっている。

 

タイの倉庫業はロジスティック産業に分類され、Thailand4.0などでも強調される、主要産業の一つである。

 

トラディショナル倉庫とモダン倉庫

 

タイの倉庫業を語る場合、一般的にトラディショナル倉庫とモダン倉庫に分けて語られるが、トラディショナル倉庫とはいわゆる一般的な貸倉庫であり、倉庫業者は電気水道設備とセキュリティを提供する。

 

トラディショナル倉庫の割合は全体の95%

 

一方、テクノロジーを導入し仕分け、温度管理、期限管理を導入している倉庫をモダン倉庫と呼び、AI導入を試みているスタートアップ企業も誕生している。

 

貸倉庫業プレーヤーもモダン倉庫への改装への着手を始め、 LEED(Leadership in Energy and
Environmental Design)基準に適応させた環境保護、省エネルギー倉庫運営もトレンドとなっている。

 

タイの倉庫業は商務省の管理下にある

Buyers first step contents

 

タイ国内の倉庫業はWarehouse Supervision Committee Silo and Cold Storageという商務省による認可が必要になる。

 

倉庫管理される商品は農作物が多くを占めているために農業協同組合との協同も重要なテーマとなっている。

 

倉庫業は製造メーカーと小売業の中間位置に属しており、他産業の影響を多く受けるとされている。

 

投資金額の回収期間も平均8-13年かかるとされており、他産業よりも長くなってしまう

 

倉庫投資は便利な土地を広大に購入するなどの高額になる場合がほとんどであり、それに対して収益が賃貸料と一定期間をかけて徴収する形になり、時間コストが高い

 

別の要素として、倉庫の建設には一般的に6-18か月の期間がかかるために、産業界の先を読む能力も必要となる。

 

タイ国内の倉庫業で必要とされる要素は以下の通りとなっている。

 

  • 日用品倉庫…小売店、住宅地に近い立地。頻繁に商品の行き来があるため。
  • 農業用倉庫…農耕地、加工工場に近い立地。輸送コストを下げるため。
  • 工業用原料、製品…工業団地内、経済特区内。BOI(投資委員会)による投資利益を受けるため。

 

タイの貸倉庫業2種類のリース契約

 

3年以内の短期契約

 

中小企業間、トラディショナル倉庫に関しては大多数が3年以内の短期契約が交わされている。

 

短期間契約によって産業の活発化を図り、メーカー・小売り中小企業への負担も減らしている。

 

3年以上の長期契約

 

大企業が使用するモダン倉庫に関する契約で多く見られる。

 

倉庫設計、建設段階から使用者である大企業も関わり専用設計を行い、貸倉庫業者が建設と運用を担当する((Ready-built warehouse方式もしくは(Build to suit)方式)。

 

貸倉庫業者も大規模なロジスティック企業が手掛け、運送などのプランニングも同時に行うケースが多い。

 

ではタイの倉庫業の市場はどうなっているのでしょうか。

 

【タイ・コメ産業】トレンド⑤-今後の動向

タイのコメ産業は様々な問題を脱却し、成長基調に入っている。

 

では今後の動向について考えてみたい。

コメ産業は年間成長率1-2%で成長を続ける

 

2019年以降の年間取引予想量は3250-3300万㌧で年間成長率は1-2%で取引が継続する。

 

2018年は気象状況が悪く(降水量減少)、2019年の収穫量は例年よりも少なくなっている。

 

一方で現在タイのコメ産業のリスクは気象状況のみであり、2020年以降は回復し例年以上の収穫量になると予想されている。

 

タイ政府主導で、水源・農地管理改革が推進される

 

2019年6月18日にはタイ内閣が「タイ国内水源管理20年マスタープラン」を承認し、タイ国内の水管理が成長すると予想され、タイで慢性的に繰り返されている洪水、干ばつは少なくなっていくと期待されている。

 

農地改革も行われており、コメ作に適さない農地をトウモロコシ、酪農、野菜の栽培へと切り替えるための政府援助金も準備された。

タイ国内精米の生産量と消費量 出典: 農業経済局(OAE)

タイ国内コメ消費量は1100-1150万㌧へ

ZERO-ONEプロジェクト

 

2018-2019年のタイ国内コメ消費量は1080万㌧だが、特に外食産業の拡大に伴い国内需要が増加すると期待されている。

 

またコメを原材料とした菓子の開発なども進められており、健康食としてのコメが注目されている。

 

輸出量は900-1000万㌧へと縮小か

 

2018年のコメの輸出量は1110万だったが、タイ政府主導コメ買取のストックがまだ残っておりこれまでは低価格であったとしても輸出量の増加が最大課題となっていた。

 

さらに、中国、カンボジア、ベトナムをはじめとするコメ生産国との競争が激化していることも輸出量が少なくなっていることの要因となっている。

 

タイのコメ輸入価格は今後も安定を継続すると見られている

  • 世界的なコメ需要は高いまま継続する
  • タイのコメの品質の高さ
  • 世界的にコメのストックは増えている中でも価格の安定は何年も続いてきた
  • 異常気象の結果、コメの価格の高騰傾向が続いている

 

コメ産業各プレーヤーの見通し

 

  1. 農家…生産量の増加自体が増えることのないために、今後も利益が大きくなることは見込めない。またコメ卸業者による低価格の買取生産資金の増大(2018年は平均10,022バーツ/㌧が10,500-10,600バーツ/㌧まで上昇予想)などのネガティブな要素がある。一方、市場でのジャスミン米の需要拡大などの積極的な要素も確認できる。
  2. 精米業者…コメの在庫量の管理、人材の不足などが当座の問題点として認識されている。都市部の生活スタイルが以前のタイ人とは異なってきており、スーパーマーケットでの商品の購入層が増え、コメの梱包もプラスチックの袋での販売量が増える。プラスチック袋、梱包用マシン、在庫管理費などが新たなコストとして発生する。
  3. コメ販売店…旧式の量り売り店舗はスーパーマーケット型プラスチック袋によるコメ販売に押される形となり、シェアが縮小している。
  4. コメ輸出者…2017-2018年から輸出量は減少している。これはタイ政府のストック減少方針のためで、世界的なコメ需要により依然として特にジャスミン米の販売によりコメ輸出業者の見通しは明るい。

 

【タイ・コメ産業】トレンド④-コメ産業の遍歴

タイの普通米・ジャスミン米・加工米の輸出入状況をみてきたが、タイ国内のコメ市場について考えてみたい。

 

タイ国内のコメ消費量は年間1000-1100万㌧

 

タイで生産されているコメは政府による買い上げが行われており、コメはタイの主食として生産者・消費者保護措置が取られている。

 

価格面でも安定し、不作であっても生産者の生活の保障がなされている。

 

2017年より政府によるコメ買上基準が変更され、動物用飼料やバイオ発電用資材として使用する、食事に適さない低品質米も政府による買い上げ対象となった。

 

その結果、タイ国内のコメ市場はより活発な成長フェーズに向かっている。

 

2012~2013年のタイ国内コメ産業の混乱

 

政府によるコメ買い上げ価格が世界的な市場価格よりも高く設定され市場の混乱を招く

 

政府の買い取り額を高値に設定してしまったため、政府買取を希望する農家が続出し2011-2012年度は2170万㌧、2012-2013年度は2250万㌧が政府により購入された(2010-2011年度は980万㌧)。

 

このような異常事態のせいで市場に出回るコメの量が減り、コメの一般卸業者が大損害を受ける事例が続出する(出典:タイ開発研究所 “ผลดีผลเสียของการจำนำข้าวทุกเม็ด”)。

 

農作物輸出業者もタイの米の実質の値上がりのために、他の米輸出国との競争に勝つことができず輸出を全く行えなくなってしまった期間さえ発生する事態となった。

 

2012-2013年度の二年間でコメの輸出量は660-670万㌧となり2011年度1070万㌧と比較しても減少の度合いが異常な数値となっている。

出典: Office of Agricultural Economics (OAE)

2014-2016年のタイ国内コメ産業の混乱が終わる

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タイ政府による異常高価格買取の結果、2014年にはタイ国内年間コメ消費量が1220万㌧に対して1776万㌧もストックされている異常事態が続いていた。

 

通常の年は平均してストックは400-600万㌧なので、1776万㌧は年間消費量をすでに上回っており、新しい生産をするほどのないほどコメ余りを生んでいた。

 

タイ政府はこの異常事態の解決のために異常ストックされているコメの早期消費を願いGtoG取引、つまり政府間取引を要請した。

 

中国、インドネシア、フィリピン、イラク、イランなどの国々からの買取要請が入り事態の鎮静化が図られた。

 

コメの卸売り企業の業績も徐々に回復し始め、国際的なタイ国産コメの価格が安定した。

2013-2018年(2019-2020年予想)のコメ生産量・消費量・輸出量・ストック量

 

2017-2018年のコメ市場は生産量、輸出量ともに拡大

 

2017-2018年は気候状態もよく、市場背景も順調なためにコメの生産量が2017年は3160万㌧(前年比11.3%増)、2018年は3220万㌧と大きく増加した。

 

タイ政府ストックは継続している物の、輸出市場をはじめ市場状況はよくタイのコメ産業にとって追い風となっている。

 

2017年コメ輸出量は1170万㌧(前年比17.8%増)、2018年は1110万㌧の輸出を行った。

 

現在のタイのコメ市場は成長基調にある。

【タイ・コメ産業】トレンド③-コメ各種の輸出状況

タイ米の品質の高さを証明するかのようにタイのコメ輸出量は非常に大きい。

 

普通米(白米)、ジャスミン米、加工米それぞれの輸出状況はどのようになっているのだろうか。

 

 

普通米(白米)はコメ産業の主要取引製品

 

世界的に見ても取引されているコメの55-60%は普通米(白米)となっており、品質や種類によって多く区分されている。

 

たとえばタイ国内区分では 商務部によるコメ製品規格B.E. 2540が以下のように定められている

  • 白米100%…最も高品質。割れや欠けが4%未満と定められている
  • グレード2…割れや欠けを起こしているコメが5-7%で混入する
  • グレード3…割れや欠けが25-28%の割合で混入している

 

タイのコメ輸出量の40-45%、量は450-500万㌧/年は普通米となっている。

 

主な輸出先は、日本、ASEAN諸国とアフリカ諸国となり、日本へは白米100%のみの輸出、一方ASEAN諸国とアフリカ諸国はグレード2、3の輸出が多い。

 

国際的な普通米(白米)産業の競争が高まっている

 

コメの生産地としてインド、ベトナム、カンボジア、ミャンマーが主要プレイヤーとして数えられているが、それらは安い人件費でコメの生産が可能なため競争相手として脅威となっている。

 

現在は品質の面でタイはリードしている物の、世界的に柔らかいコメが流行しており品質改良の競争ともなっている。

 

タイはタイ米の生産が90%であり、この面で後れを取っていると言わざるを得ない。

 

カンボジアとベトナムは中国と共同で「5141種」や「Nang Hua種」などの柔らかいコメの開発を進めており、今後タイは製品開発の面で苦戦を強いられることが予想される。

タイの普通米主要輸出先国 出典:Ministry Of Commerce(タイ商務省)

ジャスミン米(ブランド米)の輸出状況

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タイ国内でもプレミアム米として流通しているジャスミン米の輸出量は全体の13-18%130-160万㌧となっている。

 

主要輸出先はアメリカ、中国、香港となり、特にアメリカへの輸出量は全体の35%。

 

タイはジャスミン米の主要輸出国となっている

 

タイは世界一のジャスミン米生産、輸出シェアを誇ってきたが近年は国際的な競争の渦に巻き込まれている。

 

アメリカでもジャスミン米の品種改良、生産が行われ American Jasmine として( Arborio, Black Japonica, Della, Dellrose, Delmont, Jasmati Texmati, Jazzman)などのブランドが 登場。

 

カンボジアではKDM(Khao Dok Mali)、ST21 と言ったジャスミン米が生産開発されている。

 

一方で近年の最大の問題は白米の品質向上によって、

 

ジャスミン米の競合が普通米(白米)になってきている

タイのジャスミン米主要輸出先国 出典:Ministry Of Commerce(タイ商務省)

タイは世界第二位の加工米の輸出国

 

加工米とは収穫後30-40%の水分を含むように加工されたものや、蒸し加工済みのコメの事で乾燥冷凍され輸出。

 

世界的にはコメ製品の14-18%が加工米として輸出され、その85%はアフリカか中東へ輸送される。

 

タイのコメ輸出量の22-27%は加工米としての輸出

 

近年、加工米の輸出量第一位のインドと第二位のタイはによる競争は継続し、市場の価格下落を招いている。

 

タイではさらに砕米などの国際取引も行われており、菓子、動物用飼料への加工メーカーへ年間100-150万㌧輸出を行っている。

 

もち米や玄米の輸出は30万㌧/年と多くはないが引き続き行われている。

タイの加工米主要輸出先国 出典:Ministry Of Commerce(タイ商務省)

タイ国自体、主食として使用するなど大きな消費国となっているためコメの生産は継続して行われ、輸出産業も活発に継続すると見られている。

 

 

【タイ・コメ産業】トレンド②-2018年度作付け

タイのコメ産業は農業の中でも一番大きな割合を占めており、国家の主要産業の一つとなっている。

 

近年、特に2018年度の作付け状況について考えてみたい。

 

2018年度のコメの作付面積は115,200㎢

 

タイ国土の北部、中央部、東部はコメの作付に適しており

 

亜熱帯気候で冬季のないタイは一年中コメの栽培が可能だが、田植えは特に雨季とされる7-9月に盛んになり、刈り入れは年末に行われる。

タイ国内コメ生産地 出典:Office of Agricultural Economics

この季節に収穫されるコメの総量は全体の83%になる

 

コメの種類としてはタイ米(普通種)ジャスミン米もち米の三種類が広く流通している。

 

乾季にもコメの作付は行われているが、灌漑設備が整っている場所でのみ栽培が可能となる。

タイ国内のコメ生産量は3100-3300万㌧/年

 

精米後のコメとして2000-2200万㌧/年の生産量が期待されている。

 

コメの53%は国内で消費され、その他は輸出にあてられている

コメの国内消費分には加工され使用されるコメも含まれる。

  • 上新粉、加工食品
  • 菓子
  • バイオ発電用燃料
  • 動物用飼料
  • エタノール

 

これらの加工品として国内使用米のうち30-40%が使用される。

 

残りの60-70%が一般消費者によって直接消費される。

 

そのうち50-55%は専用の卸業者を通して小売店やマーケットで量り売りの形で販売される。

 

残りの45-50%は袋詰めにされ、スーパーやモール、コンビニエンスストアで販売される。

 

消費者傾向はスーパーやモールでの買い物を好む傾向が進んでおり、近いうちに上記の数値は逆転すると思われる。

 

小売り大手のTescoLOTUSやMakroなどはオリジナルブランドとしてのコメも全国で販売しており、袋詰めのスーパーでの販売は加速すると思われる。

 

コメの輸出需要は高い

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タイ米の品質の高さが証明される形の輸出高の継続はアフリカ(ベナン)、中国、アメリカ、ASEAN諸国、中東などによって支えられている。

 

国際取引においてコメの区分けは普通米、ジャスミン米、加工米に分けられている。

 

それぞれのコメの輸出売入状況に関して次回説明したい。

 

【タイ・コメ産業】トレンド①

タイの主要産業の農業にとってコメの生産は大きな比率を占めており、タイの米価格は政府による価格保証がされるなど基幹産業となっている。タイのコメ産業について分析をしたいと思う。

 

タイは主要なコメ生産国

 

タイの食文化はコメを中心になされており、現在でも世界的にコメの有数の生産国となっている。

 

気候も亜熱帯気候に属しており、三毛作などによって圧倒的な生産性を誇っている。

 

タイのコメ市場

 

タイのコメ市場について語るときは、主食としての国内消費と農作物輸出量一位としてのコメについて考察する必要がある。

 

コメの作付面積年は全農作物の45.2%を占めている

 

農業従事者としてコメの栽培を行っている業者は430万戸に及び、農家の74.4%はコメの栽培者となっている。

 

政府による基準価格が制定されているために農業従事者の中では安定した農作物として人気がある。

 

タイは世界6位のコメ生産量

 

世界のコメ生産量の4.2%となり生産量順位6位となっている(1位-中国,2位-インド,3位-インドネシア,4位-バングラデシュ,5位-ベトナム)。

 

一方、輸出量では世界第二位となっている

 

世界第1位はインドネシアとなっており輸出量割合は全体の25.2%となり、2位のタイは21.0%である。

コメ生産量・消費量・輸出入割合 出典:U.S. Department of Agriculture (USDA)

 

タイのコメ産業概要

D.M.P(独占販売スタープログラム)

 

生産者-コメ産業の上流業

 

430万戸の農業従事者がコメの生産を行っている。多くの農家は水田による稲作を行っているが収穫物を保管する納屋を持ってはいない。

 

そのために、コメの価格交渉に関して上流農家は不利である。

 

一般的にコメ農家は

  1. 精米可能な販売所への納品
  2. 農業協同組合

を通しての生産物の販売を行っている。

 

精米、包装業者-コメ産業の中流業

 

一般にタイの精米歩合は60-70%となり精米業者が生産者からコメを買い取り精米を行う。

 

タイ国内では生産量が多すぎ、供給が需要を大きく上回る事態が発生している。

 

販売業者-コメ産業の下流業

 

タイでは一般的に生産者が販売者になるのではなく、販売代理店を通して販売を行う。

 

販売代理店は輸出業者ともなり他国への輸出も行う。

コメの流通経路 出典:Ministry of Commerce

【タイ自動車・バイク部品】トレンド⑤-今後のタイ市場

タイの自動車・バイク部品産業は完成車業界と比例し盛況であり、メンテナンス需要などによりさらなる需要を見込むことも可能となっている。

 

では今後予測できる自動車・バイク部品産業とはどのようなものだろうか。

 

 

今後も引き続き3-5%の成長が継続

 

具体的には2019-2021年の予想とされているが、OEM・REM生産による自動車・バイク部品の需要は継続するとみられる。

 

2019年の売上高は半年間の短観から予想するに前年並み、もしくは3%程の増加となる。

 

さらにその先の2022-2023年に関しては各機関によって予想が異なり、2-5%で前年比成長が継続するとする機関もあれば、KrunsriBankのように成長度は鈍化するとする見方もある。

 

成長度の鈍化に作用する要素としては

 

自然災害の増加

 

主要産業である農業が大きな打撃を受け、タイ国内全体の景気や消費が悪化する

 

というものがあり、実際に何度も自然災害(洪水、干ばつ)後の景気後退は起こってきた。

 

自動車・バイク販売台数と今後の予想 出典:Krunsri Bank

 

買い替え需要と政府援助

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2012年に政府が「ファーストカー補助金」として支援し、多くの人が自動車購入を果たした。

 

その需要は大きく、計算上道路面積に対して自動車保有台数が多くなりすぎてしまったため、首都バンコクはBBC調べによると世界一渋滞が発生する都市と認定されるほどだった。

 

ファーストカー補助金利用世代が買い替えの時期を迎える

 

これが今後の需要を大きく後押しする要因の一つである。

 

低中所得者国民の足として自動車と同等の販売台数を誇るバイクに関しては今後も販売台数は継続すると見られ、大きく関係する要因は

 

低所得者層への政府援助

 

Thai Credit Guarantee Corporation(TCG)によりバイクタクシー業者への特別金利による貸し付け

 

が見られる。

 

タイでは各家庭の抱える貸付負債額(借金)が大きな問題となっており、違法業者からの貸し付けが横行している。

 

今回の政府援助や正当な金利での貸し付けにより、タイ国民や事業者の金融リテラシーが向上し自動車・バイク購買へとつながると期待されている。

タイ国内自動車・バイク登録台数 出典:タイ陸運局(Thai Dept Of Land Transport Head Office)

 

外資系部品メーカーの参入と電気自動車シフト

 

近年、主に日本のSMEsがタイに拠点を作り部品製造を行う傾向が見られる。

 

タイ国内には1,100の企業が自動車・バイク部品製造企業として登録されており、それらの企業にとって日本のSMEsが今後の直接のライバルになると見られている。

 

また、タイ政府が掲げている

 

2036年までにタイ国内で電気自動車登録台数を120万台にする

 

という目標も、タイ国内の自動車・バイク部品業者を悩ましている。

 

現在のエコカーの主流派はHV(ハイブリットカー)、PHV(プラグイン・ハイブリットカー)でありエンジンも搭載されているために既存の技術が通用するが、電気自動車になった場合にエンジン系、ブレーキ系、油圧系をはじめ既存のメーカーが大きな打撃を受けると予想されている。

 

電気自動車のコストの大部分を占めるバッテリー技術にイノベーションが起こり、低価格で飛躍的に供給が伸びることがあれば電気自動車の普及は加速度的に進むことになり、その時がタイの自動車・バイク部品製造業のXデーとなってしまうのかもしれない。

 

一方、TOYOTAやBMWは経済特区の恩恵を受けてバッテリー開発拠点をタイに設置し継続的な投資を表明しているために、ある日突然にタイの自動車産業が終焉を迎えることも考えにくい。