タイのコメ産業は様々な問題を脱却し、成長基調に入っている。
では今後の動向について考えてみたい。
コメ産業は年間成長率1-2%で成長を続ける
2019年以降の年間取引予想量は3250-3300万㌧で年間成長率は1-2%で取引が継続する。
2018年は気象状況が悪く(降水量減少)、2019年の収穫量は例年よりも少なくなっている。
一方で現在タイのコメ産業のリスクは気象状況のみであり、2020年以降は回復し例年以上の収穫量になると予想されている。
タイ政府主導で、水源・農地管理改革が推進される
2019年6月18日にはタイ内閣が「タイ国内水源管理20年マスタープラン」を承認し、タイ国内の水管理が成長すると予想され、タイで慢性的に繰り返されている洪水、干ばつは少なくなっていくと期待されている。
農地改革も行われており、コメ作に適さない農地をトウモロコシ、酪農、野菜の栽培へと切り替えるための政府援助金も準備された。
タイ国内コメ消費量は1100-1150万㌧へ
2018-2019年のタイ国内コメ消費量は1080万㌧だが、特に外食産業の拡大に伴い国内需要が増加すると期待されている。
またコメを原材料とした菓子の開発なども進められており、健康食としてのコメが注目されている。
輸出量は900-1000万㌧へと縮小か
2018年のコメの輸出量は1110万だったが、タイ政府主導コメ買取のストックがまだ残っておりこれまでは低価格であったとしても輸出量の増加が最大課題となっていた。
さらに、中国、カンボジア、ベトナムをはじめとするコメ生産国との競争が激化していることも輸出量が少なくなっていることの要因となっている。
タイのコメ輸入価格は今後も安定を継続すると見られている
- 世界的なコメ需要は高いまま継続する
- タイのコメの品質の高さ
- 世界的にコメのストックは増えている中でも価格の安定は何年も続いてきた
- 異常気象の結果、コメの価格の高騰傾向が続いている
コメ産業各プレーヤーの見通し
- 農家…生産量の増加自体が増えることのないために、今後も利益が大きくなることは見込めない。またコメ卸業者による低価格の買取、生産資金の増大(2018年は平均10,022バーツ/㌧が10,500-10,600バーツ/㌧まで上昇予想)などのネガティブな要素がある。一方、市場でのジャスミン米の需要拡大などの積極的な要素も確認できる。
- 精米業者…コメの在庫量の管理、人材の不足などが当座の問題点として認識されている。都市部の生活スタイルが以前のタイ人とは異なってきており、スーパーマーケットでの商品の購入層が増え、コメの梱包もプラスチックの袋での販売量が増える。プラスチック袋、梱包用マシン、在庫管理費などが新たなコストとして発生する。
- コメ販売店…旧式の量り売り店舗はスーパーマーケット型プラスチック袋によるコメ販売に押される形となり、シェアが縮小している。
- コメ輸出者…2017-2018年から輸出量は減少している。これはタイ政府のストック減少方針のためで、世界的なコメ需要により依然として特にジャスミン米の販売によりコメ輸出業者の見通しは明るい。