タイの鉄鋼業界は成長継続を続けているが、2019年~の業界の展望の詳細を見てみましょう。
タイの鉄鋼業は建設業と連動
タイ国内の産業で鉄鋼の使用が多く認められているのは建設業や自動車製造業だが、特殊鋼を使用する自動車製造に比べ建設業の動向はタイ国内の鉄鋼業により大きな影響を及ぼしていると言える。
2019年の上半期はタイ国内の各産業の成長の鈍化がみられた。その要因は…
要因:タイ総選挙によって誕生した新内閣の動向を図っていたため
特に予算編成や2020年以降の政策や政府プロジェクトの発表まで、各企業が待機していた傾向が強く、結果は成長の鈍化として反映された。
しかし、旧政権の流れを汲む新政権はThailand4.0政策の継続を発表したため、現行計画・実行されている政府プロジェクトは継続され、特にインフラ整備に伴い建設・不動産産業は好反応となった。
タイ国内の産業計画
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建設拡大が続いている東部経済特区、バンコクからの高速鉄道計画
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自動車、電化製品の製造→国内消費、ASEAN圏内への輸出増
一方、鉄鋼の輸出に関しては輸出先の27%を占めるアメリカが自国鉄鋼産業保護のために関税の引き上げを行いった影響でタイからの輸出量は減少すると見られている。
それでもタイの鉄鋼業は成長する
2020~2022年のタイ国内各産業は成長を続けるとされ、鉄鋼業の需要も継続する。
タイの鉄鋼は90%が自国内消費
なので、国内需要が高まることの方が輸出用を増やすよりも鉄鋼業にとっては成長のための効果は大きくなる。
タイの鉄鋼業に関係する他の要因
中国の動向
中国では2018年から品質・環境基準を満たさない製鉄工場の閉鎖が政府主導で行われているが、依然として莫大な製造を行っており、価格面での競争では不利となる。
現在では高品質な製鉄技術が確立されつつあり、高品質鋼の大量製造によって今後も鉄鋼生産は中国の動向に左右されるであろうことが明確である。
他の国に製鉄所建設によって進出を始めている
タイ国内にも中国資本による製鉄工場が建設されていおり、中国資本の進出が始まっている。
タイ投資委員会(BOI)の発表によると外国企業の参入の26%は中国企業であり、鉄鋼の分野でも中国が進出している。
タイの鉄鋼業はアメリカへの輸出量が少なくなる一方、中国との関係がより深くなっていることが見て取れる。