タイの普通米・ジャスミン米・加工米の輸出入状況をみてきたが、タイ国内のコメ市場について考えてみたい。
タイ国内のコメ消費量は年間1000-1100万㌧
タイで生産されているコメは政府による買い上げが行われており、コメはタイの主食として生産者・消費者保護措置が取られている。
価格面でも安定し、不作であっても生産者の生活の保障がなされている。
2017年より政府によるコメ買上基準が変更され、動物用飼料やバイオ発電用資材として使用する、食事に適さない低品質米も政府による買い上げ対象となった。
その結果、タイ国内のコメ市場はより活発な成長フェーズに向かっている。
2012~2013年のタイ国内コメ産業の混乱
政府によるコメ買い上げ価格が世界的な市場価格よりも高く設定され市場の混乱を招く
政府の買い取り額を高値に設定してしまったため、政府買取を希望する農家が続出し2011-2012年度は2170万㌧、2012-2013年度は2250万㌧が政府により購入された(2010-2011年度は980万㌧)。
このような異常事態のせいで市場に出回るコメの量が減り、コメの一般卸業者が大損害を受ける事例が続出する(出典:タイ開発研究所 “ผลดีผลเสียของการจำนำข้าวทุกเม็ด”)。
農作物輸出業者もタイの米の実質の値上がりのために、他の米輸出国との競争に勝つことができず輸出を全く行えなくなってしまった期間さえ発生する事態となった。
2012-2013年度の二年間でコメの輸出量は660-670万㌧となり2011年度1070万㌧と比較しても減少の度合いが異常な数値となっている。
2014-2016年のタイ国内コメ産業の混乱が終わる
タイ政府による異常高価格買取の結果、2014年にはタイ国内年間コメ消費量が1220万㌧に対して1776万㌧もストックされている異常事態が続いていた。
通常の年は平均してストックは400-600万㌧なので、1776万㌧は年間消費量をすでに上回っており、新しい生産をするほどのないほどコメ余りを生んでいた。
タイ政府はこの異常事態の解決のために異常ストックされているコメの早期消費を願いGtoG取引、つまり政府間取引を要請した。
中国、インドネシア、フィリピン、イラク、イランなどの国々からの買取要請が入り事態の鎮静化が図られた。
コメの卸売り企業の業績も徐々に回復し始め、国際的なタイ国産コメの価格が安定した。
2017-2018年のコメ市場は生産量、輸出量ともに拡大
2017-2018年は気候状態もよく、市場背景も順調なためにコメの生産量が2017年は3160万㌧(前年比11.3%増)、2018年は3220万㌧と大きく増加した。
タイ政府ストックは継続している物の、輸出市場をはじめ市場状況はよくタイのコメ産業にとって追い風となっている。
2017年コメ輸出量は1170万㌧(前年比17.8%増)、2018年は1110万㌧の輸出を行った。
現在のタイのコメ市場は成長基調にある。