【タイ・コメ産業】トレンド③-コメ各種の輸出状況

タイ米の品質の高さを証明するかのようにタイのコメ輸出量は非常に大きい。

 

普通米(白米)、ジャスミン米、加工米それぞれの輸出状況はどのようになっているのだろうか。

 

 

普通米(白米)はコメ産業の主要取引製品

 

世界的に見ても取引されているコメの55-60%は普通米(白米)となっており、品質や種類によって多く区分されている。

 

たとえばタイ国内区分では 商務部によるコメ製品規格B.E. 2540が以下のように定められている

  • 白米100%…最も高品質。割れや欠けが4%未満と定められている
  • グレード2…割れや欠けを起こしているコメが5-7%で混入する
  • グレード3…割れや欠けが25-28%の割合で混入している

 

タイのコメ輸出量の40-45%、量は450-500万㌧/年は普通米となっている。

 

主な輸出先は、日本、ASEAN諸国とアフリカ諸国となり、日本へは白米100%のみの輸出、一方ASEAN諸国とアフリカ諸国はグレード2、3の輸出が多い。

 

国際的な普通米(白米)産業の競争が高まっている

 

コメの生産地としてインド、ベトナム、カンボジア、ミャンマーが主要プレイヤーとして数えられているが、それらは安い人件費でコメの生産が可能なため競争相手として脅威となっている。

 

現在は品質の面でタイはリードしている物の、世界的に柔らかいコメが流行しており品質改良の競争ともなっている。

 

タイはタイ米の生産が90%であり、この面で後れを取っていると言わざるを得ない。

 

カンボジアとベトナムは中国と共同で「5141種」や「Nang Hua種」などの柔らかいコメの開発を進めており、今後タイは製品開発の面で苦戦を強いられることが予想される。

タイの普通米主要輸出先国 出典:Ministry Of Commerce(タイ商務省)

ジャスミン米(ブランド米)の輸出状況

ビジネスYouTubeの極意

 

タイ国内でもプレミアム米として流通しているジャスミン米の輸出量は全体の13-18%130-160万㌧となっている。

 

主要輸出先はアメリカ、中国、香港となり、特にアメリカへの輸出量は全体の35%。

 

タイはジャスミン米の主要輸出国となっている

 

タイは世界一のジャスミン米生産、輸出シェアを誇ってきたが近年は国際的な競争の渦に巻き込まれている。

 

アメリカでもジャスミン米の品種改良、生産が行われ American Jasmine として( Arborio, Black Japonica, Della, Dellrose, Delmont, Jasmati Texmati, Jazzman)などのブランドが 登場。

 

カンボジアではKDM(Khao Dok Mali)、ST21 と言ったジャスミン米が生産開発されている。

 

一方で近年の最大の問題は白米の品質向上によって、

 

ジャスミン米の競合が普通米(白米)になってきている

タイのジャスミン米主要輸出先国 出典:Ministry Of Commerce(タイ商務省)

タイは世界第二位の加工米の輸出国

 

加工米とは収穫後30-40%の水分を含むように加工されたものや、蒸し加工済みのコメの事で乾燥冷凍され輸出。

 

世界的にはコメ製品の14-18%が加工米として輸出され、その85%はアフリカか中東へ輸送される。

 

タイのコメ輸出量の22-27%は加工米としての輸出

 

近年、加工米の輸出量第一位のインドと第二位のタイはによる競争は継続し、市場の価格下落を招いている。

 

タイではさらに砕米などの国際取引も行われており、菓子、動物用飼料への加工メーカーへ年間100-150万㌧輸出を行っている。

 

もち米や玄米の輸出は30万㌧/年と多くはないが引き続き行われている。

タイの加工米主要輸出先国 出典:Ministry Of Commerce(タイ商務省)

タイ国自体、主食として使用するなど大きな消費国となっているためコメの生産は継続して行われ、輸出産業も活発に継続すると見られている。

 

 

【タイ・コメ産業】トレンド②-2018年度作付け

タイのコメ産業は農業の中でも一番大きな割合を占めており、国家の主要産業の一つとなっている。

 

近年、特に2018年度の作付け状況について考えてみたい。

 

2018年度のコメの作付面積は115,200㎢

 

タイ国土の北部、中央部、東部はコメの作付に適しており

 

亜熱帯気候で冬季のないタイは一年中コメの栽培が可能だが、田植えは特に雨季とされる7-9月に盛んになり、刈り入れは年末に行われる。

タイ国内コメ生産地 出典:Office of Agricultural Economics

この季節に収穫されるコメの総量は全体の83%になる

 

コメの種類としてはタイ米(普通種)ジャスミン米もち米の三種類が広く流通している。

 

乾季にもコメの作付は行われているが、灌漑設備が整っている場所でのみ栽培が可能となる。

タイ国内のコメ生産量は3100-3300万㌧/年

 

精米後のコメとして2000-2200万㌧/年の生産量が期待されている。

 

コメの53%は国内で消費され、その他は輸出にあてられている

コメの国内消費分には加工され使用されるコメも含まれる。

  • 上新粉、加工食品
  • 菓子
  • バイオ発電用燃料
  • 動物用飼料
  • エタノール

 

これらの加工品として国内使用米のうち30-40%が使用される。

 

残りの60-70%が一般消費者によって直接消費される。

 

そのうち50-55%は専用の卸業者を通して小売店やマーケットで量り売りの形で販売される。

 

残りの45-50%は袋詰めにされ、スーパーやモール、コンビニエンスストアで販売される。

 

消費者傾向はスーパーやモールでの買い物を好む傾向が進んでおり、近いうちに上記の数値は逆転すると思われる。

 

小売り大手のTescoLOTUSやMakroなどはオリジナルブランドとしてのコメも全国で販売しており、袋詰めのスーパーでの販売は加速すると思われる。

 

コメの輸出需要は高い

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タイ米の品質の高さが証明される形の輸出高の継続はアフリカ(ベナン)、中国、アメリカ、ASEAN諸国、中東などによって支えられている。

 

国際取引においてコメの区分けは普通米、ジャスミン米、加工米に分けられている。

 

それぞれのコメの輸出売入状況に関して次回説明したい。

 

【タイ・コメ産業】トレンド①

タイの主要産業の農業にとってコメの生産は大きな比率を占めており、タイの米価格は政府による価格保証がされるなど基幹産業となっている。タイのコメ産業について分析をしたいと思う。

 

タイは主要なコメ生産国

 

タイの食文化はコメを中心になされており、現在でも世界的にコメの有数の生産国となっている。

 

気候も亜熱帯気候に属しており、三毛作などによって圧倒的な生産性を誇っている。

 

タイのコメ市場

 

タイのコメ市場について語るときは、主食としての国内消費と農作物輸出量一位としてのコメについて考察する必要がある。

 

コメの作付面積年は全農作物の45.2%を占めている

 

農業従事者としてコメの栽培を行っている業者は430万戸に及び、農家の74.4%はコメの栽培者となっている。

 

政府による基準価格が制定されているために農業従事者の中では安定した農作物として人気がある。

 

タイは世界6位のコメ生産量

 

世界のコメ生産量の4.2%となり生産量順位6位となっている(1位-中国,2位-インド,3位-インドネシア,4位-バングラデシュ,5位-ベトナム)。

 

一方、輸出量では世界第二位となっている

 

世界第1位はインドネシアとなっており輸出量割合は全体の25.2%となり、2位のタイは21.0%である。

コメ生産量・消費量・輸出入割合 出典:U.S. Department of Agriculture (USDA)

 

タイのコメ産業概要

D.M.P(独占販売スタープログラム)

 

生産者-コメ産業の上流業

 

430万戸の農業従事者がコメの生産を行っている。多くの農家は水田による稲作を行っているが収穫物を保管する納屋を持ってはいない。

 

そのために、コメの価格交渉に関して上流農家は不利である。

 

一般的にコメ農家は

  1. 精米可能な販売所への納品
  2. 農業協同組合

を通しての生産物の販売を行っている。

 

精米、包装業者-コメ産業の中流業

 

一般にタイの精米歩合は60-70%となり精米業者が生産者からコメを買い取り精米を行う。

 

タイ国内では生産量が多すぎ、供給が需要を大きく上回る事態が発生している。

 

販売業者-コメ産業の下流業

 

タイでは一般的に生産者が販売者になるのではなく、販売代理店を通して販売を行う。

 

販売代理店は輸出業者ともなり他国への輸出も行う。

コメの流通経路 出典:Ministry of Commerce

【タイ自動車・バイク部品】トレンド⑤-今後のタイ市場

タイの自動車・バイク部品産業は完成車業界と比例し盛況であり、メンテナンス需要などによりさらなる需要を見込むことも可能となっている。

 

では今後予測できる自動車・バイク部品産業とはどのようなものだろうか。

 

 

今後も引き続き3-5%の成長が継続

 

具体的には2019-2021年の予想とされているが、OEM・REM生産による自動車・バイク部品の需要は継続するとみられる。

 

2019年の売上高は半年間の短観から予想するに前年並み、もしくは3%程の増加となる。

 

さらにその先の2022-2023年に関しては各機関によって予想が異なり、2-5%で前年比成長が継続するとする機関もあれば、KrunsriBankのように成長度は鈍化するとする見方もある。

 

成長度の鈍化に作用する要素としては

 

自然災害の増加

 

主要産業である農業が大きな打撃を受け、タイ国内全体の景気や消費が悪化する

 

というものがあり、実際に何度も自然災害(洪水、干ばつ)後の景気後退は起こってきた。

 

自動車・バイク販売台数と今後の予想 出典:Krunsri Bank

 

買い替え需要と政府援助

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2012年に政府が「ファーストカー補助金」として支援し、多くの人が自動車購入を果たした。

 

その需要は大きく、計算上道路面積に対して自動車保有台数が多くなりすぎてしまったため、首都バンコクはBBC調べによると世界一渋滞が発生する都市と認定されるほどだった。

 

ファーストカー補助金利用世代が買い替えの時期を迎える

 

これが今後の需要を大きく後押しする要因の一つである。

 

低中所得者国民の足として自動車と同等の販売台数を誇るバイクに関しては今後も販売台数は継続すると見られ、大きく関係する要因は

 

低所得者層への政府援助

 

Thai Credit Guarantee Corporation(TCG)によりバイクタクシー業者への特別金利による貸し付け

 

が見られる。

 

タイでは各家庭の抱える貸付負債額(借金)が大きな問題となっており、違法業者からの貸し付けが横行している。

 

今回の政府援助や正当な金利での貸し付けにより、タイ国民や事業者の金融リテラシーが向上し自動車・バイク購買へとつながると期待されている。

タイ国内自動車・バイク登録台数 出典:タイ陸運局(Thai Dept Of Land Transport Head Office)

 

外資系部品メーカーの参入と電気自動車シフト

 

近年、主に日本のSMEsがタイに拠点を作り部品製造を行う傾向が見られる。

 

タイ国内には1,100の企業が自動車・バイク部品製造企業として登録されており、それらの企業にとって日本のSMEsが今後の直接のライバルになると見られている。

 

また、タイ政府が掲げている

 

2036年までにタイ国内で電気自動車登録台数を120万台にする

 

という目標も、タイ国内の自動車・バイク部品業者を悩ましている。

 

現在のエコカーの主流派はHV(ハイブリットカー)、PHV(プラグイン・ハイブリットカー)でありエンジンも搭載されているために既存の技術が通用するが、電気自動車になった場合にエンジン系、ブレーキ系、油圧系をはじめ既存のメーカーが大きな打撃を受けると予想されている。

 

電気自動車のコストの大部分を占めるバッテリー技術にイノベーションが起こり、低価格で飛躍的に供給が伸びることがあれば電気自動車の普及は加速度的に進むことになり、その時がタイの自動車・バイク部品製造業のXデーとなってしまうのかもしれない。

 

一方、TOYOTAやBMWは経済特区の恩恵を受けてバッテリー開発拠点をタイに設置し継続的な投資を表明しているために、ある日突然にタイの自動車産業が終焉を迎えることも考えにくい。

 

【タイ自動車・バイク部品】トレンド④-2018年のタイ市場

2014年には残念ながら縮小傾向へと向かってしまったタイの自動車・バイク部品産業も、2015年ごろから新たな需要が発生し、回復基調へと向かってきた。

 

では2018年の市場に関しての考察です。

 

2018年の市場は前年比1.3%の成長

 

上記の1.3%の成長はあくまでも製造業生産指数(MPI)によるものだが、自動車・バイク部品市場は成長を継続している。

 

タイ国内の部品製造企業の収益の伸びは前年比10-12%

 

特に、タイを貿易黒字国とたらしめているのは自動車産業であることは間違いないが、タイは他国で行われている完成車製造のためのメーカー部品製造・輸出国としての大きな位置も占めている。

 

自動車・バイク部品産業年間成長率(2016=100) 出典:タイ工業省工業経済事務局(OIE)

 

2018年タイ国内の完成車生産台数は

  • 自動車…217万台(前年比9%の増加)

  • バイク…206万台(前年比0.4%の増加)

となっている。

 

2012年にタイ政府が行った「ファーストカー補助金制度」を受けて購入した自動車も5年の年月が経ち、買い替えやメンテナンス需要が発生している。

 

さらに低所得者のために政府が行っている生活保護政策の中には、自動車やタイヤの購入費用は税金控除として加えてよいとの条文も加えられており、消費者心理を後押しした形となっている。

 

自動車・バイク部品の輸入は前年比5.8%の増加

 

2018年の自動車・バイク輸入額は175億ドルに達している。

 

主な輸入先としては

  • 日本(全体の35%)…62億ドル(前年比+7.1%)
  • 中国(全体の19%)…33億ドル(前年比-4.9%)
  • ASEAN諸国(全体の13%)…18億ドル

となっている。

自動車・バイク部品輸入先国 出典:Ministry Of Commerce

 

自動車・バイク部品輸出状況2018年

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2018年の自動車・バイク部品の輸出は212億ドルにも及び、前年比13.7%の成長となっている。

 

エンジンの輸出は前年比24.3%の増加

 

タイ国内で自動車・バイクのエンジンの製造も行っているが、2018年のエンジン輸出額は53億ドルになり前年比24.3%もの成長となっている。

 

タイでは経済特区を設け自動車メーカーは条件を満たせば法人税の一定期間の免除などの特典を受けることができる。

 

その効果もあり、タイで自動車の心臓部ともいえるエンジン自体の製造を行っているメーカーは多岐にわたる。

  • TOYOTA…ディーゼルエンジンの製造
  • Honda…ガソリンエンジン1.8L、1.5L VTEC TURBOエンジンの製造
  • MAZDA…1.3L skyactiveガソリンエンジン、2.0L skyactiveガソリンエンジン

などの製造を行う。

 

それらのエンジンのうち43.2%は日本に送られ完成車製造に使用される

 

タイヤの輸出は前年比11.5%の増加

 

タイヤの輸出額は51億ドルとなり、前年比11.5%の増加となった。

 

中国企業のタイ進出が相次ぎ、特に大型車のタイヤの製造を行っている。

  • Double Coin , Strong Man…トラック用タイヤ
  • Shenzhou…バス用タイヤ

 

おもな輸出先はアメリカ(全体の42%)、ASEAN国(全体の16%)、ヨーロッパ諸国(全体の9%)となっている。

【タイ自動車・バイク部品】トレンド③-現在までの市場

タイの自動車・バイク部品業界は大局的に見れば成長を続けているが現在までの歩みの中では、その産業に大きな局面があったことも見て取ることができる。

 

2012~2017年の期間は国内需要が落ち込む反面、自動車・バイク部品の輸出量が継続的に増加するなどの傾向を見せた。

 

今回はその詳細について振り返ってみたい。

 

2012~2013年の自動車・バイク部品市場

 

タイ政府主導の「ファーストカー補助金」制度に後押しされ、タイの2012年の自動車市場は大いに沸き立った。

 

ファーストカー補助金制度は初めて自動車を購入する消費者に対して最大10万バーツ(約30万円(当時のレート))を政府補助金が援助するものであった。

 

結果的には政府の予想を超える人数が補助金の申し込みをしたために、補助金の受給は早い者勝ちとなってしまったが大きな反響を得た。

 

同年には消費者の自家用車に対する需要が刺激され、バイク購入者も増加し自動車・バイク産業は大きな拡大を見た。

 

自動車・バイク部品産業も2012年には前年比32%の大幅な増加となり、その成長は翌2013年にも7%の増加と継続されることになった。

 

出典:タイ工業連盟(FTI) https://www.fti.or.th/2016/thai/index.aspx

 

2014年の自動車・バイク部品市場

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2014年から自動車・バイク市場は縮小傾向に向かってしまう。

 

その要因としては

  • ファーストカー補助金の終了
  • 洪水をはじめとした自然災害によって農作物の不作が起こる
  • タイ国全体の経済成長が鈍化する
  • 政情不安定

などを挙げることができる。

 

縮小の割合は前年比33.7%減、バイク市場の縮小は前年比15.1%減と非常に大きなものだった。

 

国際的にも金融状況が悪化し、他国の経済状況も芳しくなかったために輸出業も成長が鈍化し結果的には部品産業全体の収益が悪化した。

 

さらにファーストカー補助金制度によって多くの人が新車を手にしたために、故障も少なく、自動車部品の交換修理需要も少なかった。

 

2015~2017年の自動車・バイク部品市場

 

2015年からは自動車・バイク部品産業は徐々に回復してきたが、その背景には新車の消耗品の交換、修理の発生などが増えてきたことを挙げることができる。

 

特に新車販売から3~5年目にはバッテリー、タイヤなどの消耗品の交換からディーラーの定期点検での部品交換需要が発生する。

 

2015年の自動車・バイク部品業界の成長度は前年比4.5%となった。

タイの自動車・バイク部品業界の前年比成長率 出典:タイ商務省流通事業推進局

 

2018年の自動車・バイク部品市場

 

Sales of motor vehicle industry production index (MPI)によると自動車・バイク部品の製造は2016年よりも6.5%高い割合で行われており、その要因は完成車の製造量が増加したことに関係がある。

 

一方で部品輸出に関しては成長に陰りが見えているが、最も大きな要因が米中貿易戦争があるという事ができる。

自動車・バイク部品の成長インデックス

 

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【タイ自動車・バイク部品】トレンド②-OEM

自動車・バイク部品業界の30-40%はOEM生産からなっている。

タイ製自動車の部品はどこから調達されているか

 

タイの自動車・バイク部品業は主にOEM生産(相手会社の発注品のブランドの形をとった生産。『相手先ブランド名製造』、『納入先商標による受託製造』とも訳される)されており、

 

その数値は、自動車構成部品の30-40%となっている。

 

自動車構成部品は自動車完成車メーカーや部品メーカーが設計したものをタイ国内の拠点や企業が製造するOEM方式がとられている。

 

60-70%の自動車・バイク部品はタイ設計、製造部品となっている。

 

それらの部品の多くは購入後もアフターケアが必要になるとみられる重要部品以外の消耗品であることが多い。

 

自動車部品輸出国としての側面

 

タイ国内生産部品の35-40%は輸出されている。

 

その80-85%は輸出先国で行われている自動車完成車生産に用いられている部品とされ、

 

15-20%は購入後に消費者のために使用するアフターパーツ、修理パーツとなる。

 

その中にはエンジン、ケーブル、ハーネス、ギア、タイヤなどが含まれる。

 

タイ国内で生産されている自動車部品 出典:タイ工業連盟(FTI)

 

なぜタイ国内で自動車部品の生産をするのか

自動車部品生産競争力 出典:IHS Inc.

 

タイの自動車部品はアジア圏内の他国と比較してもコスト、品質ともに評価が高く、自動車部品生産地としての評価が高い。

 

実際、ASEAN圏内では最大の自動車部品生産国であり、世界順位では14位の生産国となっている。

 

タイからの輸出国はフィリピン、インドネシア、ベトナムが上位となっている。

 

国内自動車・バイク部品企業統計

情報発信チーム「NEXT」

現在タイ国商務省によるとタイ国内には1800の自動車・バイク部品関連企業が存在する。

 

  • Tier-1 自動車完成車メーカーのOEM生産を行う。下請け企業。
  • Tier-2 自社生産を行うサードパーティ

 

Tier-1 720社が登録

 

外資系企業、タイ人持ち株51%以上企業、ローカル企業の割合は47%、30%、23%となる

 

Tier-2 1100社が登録

 

完成車メーカーの下請けとしてOEM生産を行っている企業とサードパーティ部品の取り扱いを行う企業に分かれる。

 

 

【タイ自動車・バイク部品】トレンド①

タイ経済トレンド記事としてタイの自動車部品産業に関する動向を見てみたいと思います。

 

タイの自動車・バイク部品産業は1-5%の比率で年間成長する見込み

 

タイで行われている自動車・バイクメーカーの完成車生産に伴い、多くの部品メーカーもOEM生産による需要が続いている。

 

さらに自動車販売後も交換部品に関する需要は継続するために、部品メーカーは一つの部品に関して長い間隔での生産を行っている。

 

生産拠点をタイに置いている海外の自動車・バイク部品メーカーも多く、製品を輸出品として海外に送り出している。

 

タイの自動車・バイク部品産業に関して、見かけ上は日中貿易戦争の影響を受けていない

 

タイの自動車・バイク産業の基本情報

 

タイ政府が自動車製造産業を国家規模で推し進めたのは1963年からと歴史が深く、当初はノックダウン形式で自動車生産が行われていた。

 

その後、自動車主要部品輸入に対しては関税率を引き下げることによって自動車生産を自国生産部品によって行うように次第に調整を図った。

 

現在は自動車部品の製造までタイ国内で果たしている

 

タイでは内閣首相府投資委員会事務局(BOI)が自動車・バイク部品メーカーの進出を優遇し、タイ企業と誘致する政策をとっている。

 

BOIに承認されると法人税、輸入税の一定期間の免税などの特定を受けることができる。

 

タイの自動車・バイク業界では過去に部品の一定比率以上の現地調達を義務付けるローカルコンテント要求(local content requirements)などによっても自国産業保護が行われてきた。

 

しかし競争率のついてきた現在ではそういった政策は廃止された。

 

現在、タイ国内で生産されている乗用車部品のうち60-80%はタイ国内製の部品が使用されている。

 

エコカーに関してはタイ国内部品使用率は90%を超えている。

 

タイ国内の自動車・バイク部品メーカーの分布

出典: Thailand Automotive Institute https://www.thaiauto.or.th/

 

現在タイ国内には Robert Bosch, Denso, Magna, Continental,ZF, Aisin Seikiなどの外資系部品メーカーが多く参入しているが特に日系メーカーの進出が際立っている。

 

地域別にはバンコク近郊、特に経済特区として指定されているチャチュンサオ(Chachoensao)、ラヨーン(Rayong)を含めた地域に自動車・バイク部品メーカーの拠点が集まっている。

 

エネルギー伝送システム系部品やエンジンなどのパワートレイン関係部品に関しては使用部品(約2000点)のうち三分の一を国内生産にて賄うことが可能となっている。

 

さらに、排気管、油圧システム、オイルタンク、点火系、ギアなどもタイ国内生産を行っている。

 

しかし最も特徴的なのが、

 

タイが生産量で世界一となっているゴムやラテックスを使用したゴムホース、ゴムベルト、ガラスエッジ、タイヤとなっている。

 

タイに参入している日系・外資系自動車部品メーカー

 

電気自動車生産への支援政策

フレームトレードFX

タイでは2015 年に電気自動車製造推進プランとして「EV アクション」を定め、2021 年まで EV 登録台数を 120 万台、充電
スタンド設置数を 690 カ所とする目標を掲げたが、現在その1%の達成にも至っていない。


その現状を顧みて前述の内閣首相府投資委員会(BOI)は、自動車メーカー各社にタイ国内での生産を促すため、EV、PHV 及
びそれらの部品生産に関する税制優遇制度を導入した。

 

BOIの承認を受けた EV メーカーは物品税を来年1月から3年間免税される

 

特に電気自動車の要ともなる(製造コストの30%を占める)バッテリーの製造もタイ国内で行いたいと考えている。

 

現在BOI承認を受けた場合、一年以内にハイブリット車の主要パーツの一つをタイ国内で生産開始しなければならない。

 

実は、三年以内には主要パーツの4つをタイ国内生産にするという条件が免税のための条件ともなっている。

 

主要パーツにはバッテリー、トラクションモーター、ドライブコントロールユニット(DCU)、バッテリー管理システム(BMS)などが含まれる。

 

タイ国としては今後 EV をはじめとする電気自動車製造の潮流に乗り遅れないために電気自動車製造のためのリソースを蓄え、電気自動車部品の製造分野での成長も視野に入れている点が伺える。

 

【タイ鉄鋼業】トレンド⑤-業界の今後の展望

タイの鉄鋼業界は成長継続を続けているが、2019年~の業界の展望の詳細を見てみましょう。

 

タイの鉄鋼業は建設業と連動

 

タイ国内の産業で鉄鋼の使用が多く認められているのは建設業や自動車製造業だが、特殊鋼を使用する自動車製造に比べ建設業の動向はタイ国内の鉄鋼業により大きな影響を及ぼしていると言える。

 

2019年の上半期はタイ国内の各産業の成長の鈍化がみられた。その要因は…

 

要因:タイ総選挙によって誕生した新内閣の動向を図っていたため

 

特に予算編成や2020年以降の政策や政府プロジェクトの発表まで、各企業が待機していた傾向が強く、結果は成長の鈍化として反映された。

 

しかし、旧政権の流れを汲む新政権はThailand4.0政策の継続を発表したため、現行計画・実行されている政府プロジェクトは継続され、特にインフラ整備に伴い建設・不動産産業は好反応となった。

 

タイ国内の産業計画

 

  • 建設拡大が続いている東部経済特区、バンコクからの高速鉄道計画

  • 自動車、電化製品の製造→国内消費、ASEAN圏内への輸出増

 

一方、鉄鋼の輸出に関しては輸出先の27%を占めるアメリカが自国鉄鋼産業保護のために関税の引き上げを行いった影響でタイからの輸出量は減少すると見られている。

 

それでもタイの鉄鋼業は成長する

 

2020~2022年のタイ国内各産業は成長を続けるとされ、鉄鋼業の需要も継続する。

 

タイの鉄鋼は90%が自国内消費

 

なので、国内需要が高まることの方が輸出用を増やすよりも鉄鋼業にとっては成長のための効果は大きくなる。

タイ国内鉄鋼需要予想 出典:タイ鉄鋼協会(ISIT)

 

タイの鉄鋼業に関係する他の要因

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中国の動向

 

中国では2018年から品質・環境基準を満たさない製鉄工場の閉鎖が政府主導で行われているが、依然として莫大な製造を行っており、価格面での競争では不利となる。

 

現在では高品質な製鉄技術が確立されつつあり、高品質鋼の大量製造によって今後も鉄鋼生産は中国の動向に左右されるであろうことが明確である。

 

他の国に製鉄所建設によって進出を始めている

 

タイ国内にも中国資本による製鉄工場が建設されていおり、中国資本の進出が始まっている。

 

タイ投資委員会(BOI)の発表によると外国企業の参入の26%は中国企業であり、鉄鋼の分野でも中国が進出している。

 

タイの鉄鋼業はアメリカへの輸出量が少なくなる一方、中国との関係がより深くなっていることが見て取れる。

 

 

【タイ鉄鋼業】トレンド④-世界の市場との対比

鉄鋼業界の世界市場と対比することによってタイ国内の鉄鋼市場の特徴と今後の展望について知ることができる。

 

2018年の世界鉄鋼市場は成長鈍化

 

主に日中貿易戦争が激化した結果といわれているが、世界規模の鉄鋼の市場は成長割合が鈍化したといわれている。

 

2018年の世界鉄鋼需要は17億㌧となり、2017年と比較すると3.9%の成長となった。

 

年間成長率を比較すると2016年からの2017年の成長率は5.0%であり、2018年度の成長割合が鈍化したと結論される。

 

アメリカの鉄鋼輸入に関税増額

 

さらに中国との貿易戦争によって、世界的な鉄鋼の製造と需要の拡大の鈍化が始まった。

 

一方、鉄鋼には各国の①生活インフラの整備②不動産価格の上昇③自動車産業の拡大などの大きな需要が継続している。

 

 

鉄鋼の輸出入量に関しては流通量は7200億ドルとなり2017年比8.7%もの増加が見られた。

世界的鉄鋼使用料と成長率 出典:World Steel Association(CEIC)

 

世界的鉄鋼製造量は増加傾向

 

世界3大鉄鋼製造国はアメリカ、ドイツ、中国となり全体の製造量の23%となっている。

 

一方、原材料の価格の上昇に伴って製品の価格上昇を招いている。

 

国際的鉄鋼価格

 

タイの鉄鋼業界2018年は輸出量10.3%の増加

Last Answer

 

2018年にタイ国内の鉄鋼使用量は1750万㌧となり4.8%の成長となった。

 

不動産開発の激化と基本インフラプロジェクトによって鉄鋼の需要が大きくなっている。

 

輸出成長は10.3%と大きく成長

 

輸出量は170万㌧となり特にCLMV(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)への輸出が大きくなっている。

 

輸出用の増加に比例し、タイ国内の鉄鋼生産量も710万㌧となり3.4%の増加となった。

 

製造量が伸びるものの、国内使用量も前年比6.4%の増加となり国内生産と輸入割合が40:60となった。

タイ国内鉄鋼の製造と使用量 出典:タイ鉄鋼協会(ISIT)

 

タイ国内の鉄鋼価格は7%もの上昇(前年比)

 

原材料の高騰に伴って国際価格に比例しタイ国内の鉄鋼価格も上昇傾向にある。

 

 

 

sasa

タイ国内鉄鋼価格と世界平均価格の対比 出典:Krungsri Bank