タイ国内の倉庫業は一般倉庫業を中心として成長が続いており、現在も700以上の企業がプレーヤーとして参戦している。
ではタイ国内での各企業の分布はどのようになっているのでしょうか。
倉庫はバンコク近郊、特にEEC圏内に建設されている
バンコクから少し離れた地域では「東部経済回廊“Eastern Economic Corridor(EEC)”」が現在も成長しており、サムットプラガーン県、アユッタヤー県、チョンブリ県、チャチュンサオ県での開発が目立っている。
現在、一般倉庫に関しては32.6%がサムットプラガーン県に設置されている
それ以外の県の一般倉庫分布はチョンブリ県21.0%、アユッタヤー県13.1%、チャチュンサオ県11.4%となっている。
これらの県には新規工業団地が建設され、経済特区と指定されていることから法人税免除などの特権を目当てに外国企業が誘致されており、その流れに伴って倉庫業界プレイヤーも参入している。
またEECエリアはタイ最大の貿易港レムチャバン港や主要国際空港のスワンナプームにも非常に近く、物流面でも多くの利点がある。
稼働率と料金相場に見る一般倉庫業
EECエリアを中心に一般倉庫が建設され多くのプレーヤーが参戦しているが、2018年度の一般倉庫稼働率を見るとバンコクやパトゥムターニー県、ランプーン県、コンケン県などの地方都市の稼働率が高いのが分かる。
これは地場産業が盛んな地域は引き続き、各メーカーや小売店による倉庫の利用が継続しているためとみられる。
一方、新規参入者も少なく飽和状態の劇的な改善は考えにくい。
現在ではタイの新規産業はバンコク近郊に集中する傾向にあり、倉庫業も地方での新規事業者は非常に少ない。
一方EECエリア内の稼働率は現在は低いものの、工業団地の成長に伴って需要が伸びると見られている。
貸倉庫の料金相場
貸倉庫の料金相場はバンコク、サムットプラガーン県が高い傾向にあり、地価と需要によって料金が高くなっていると考えることができる。
サムットプラガーン県やチャチュンサオ県は料金相場に幅があり、新しい倉庫とそうではないものなど選択の幅が広くなっていることもわかる。
モダン倉庫(温度管理倉庫)は市場縮小傾向にある
2012年からタイの水産業で大きな問題となってきた養殖エビ早期死亡症候群(EMS)問題により、水産物の出荷量が減少してきた。
そのためにタイ国内の温度管理倉庫の需要は少なくなってきている。
水産業加工業者の中でも自社倉庫を建設し、製造量に合わせた自社管理する企業が増えている
一方、青果管理倉庫は需要が大きく天候が良好で、生産物流通量増加に対応するために温度管理倉庫を利用する事業者が増えている。
サイロと穀物倉庫
2011-2013年に政府によって行われた「コメの買い上げ政策」によって通年よりも5倍の在庫量が発生し、2012-2015年までは大量のサイロが建設された。
一方で、「コメの買い上げ政策」実行時には1800万㌧も発生していたコメの在庫が、極端な政策が停止した2014年以降は300万㌧ほどになってしまい、既に建設されたサイロの需要が極端に減ってしまった。