タイ経済トレンド記事としてタイの自動車部品産業に関する動向を見てみたいと思います。
タイの自動車・バイク部品産業は1-5%の比率で年間成長する見込み
タイで行われている自動車・バイクメーカーの完成車生産に伴い、多くの部品メーカーもOEM生産による需要が続いている。
さらに自動車販売後も交換部品に関する需要は継続するために、部品メーカーは一つの部品に関して長い間隔での生産を行っている。
生産拠点をタイに置いている海外の自動車・バイク部品メーカーも多く、製品を輸出品として海外に送り出している。
タイの自動車・バイク部品産業に関して、見かけ上は日中貿易戦争の影響を受けていない。
タイの自動車・バイク産業の基本情報
タイ政府が自動車製造産業を国家規模で推し進めたのは1963年からと歴史が深く、当初はノックダウン形式で自動車生産が行われていた。
その後、自動車主要部品輸入に対しては関税率を引き下げることによって自動車生産を自国生産部品によって行うように次第に調整を図った。
現在は自動車部品の製造までタイ国内で果たしている
タイでは内閣首相府投資委員会事務局(BOI)が自動車・バイク部品メーカーの進出を優遇し、タイ企業と誘致する政策をとっている。
BOIに承認されると法人税、輸入税の一定期間の免税などの特定を受けることができる。
タイの自動車・バイク業界では過去に部品の一定比率以上の現地調達を義務付けるローカル
しかし競争率のついてきた現在ではそういった政策は廃止された。
現在、タイ国内で生産されている乗用車部品のうち60-80%はタイ国内製の部品が使用されている。
エコカーに関してはタイ国内部品使用率は90%を超えている。
タイ国内の自動車・バイク部品メーカーの分布
現在タイ国内には Robert Bosch, Denso, Magna, Continental,ZF, Aisin Seikiなどの外資系部品メーカーが多く参入しているが特に日系メーカーの進出が際立っている。
地域別にはバンコク近郊、特に経済特区として指定されているチャチュンサオ(Chachoensao)、ラヨーン(Rayong)を含めた地域に自動車・バイク部品メーカーの拠点が集まっている。
エネルギー伝送システム系部品やエンジンなどのパワートレイン関係部品に関しては使用部品(約2000点)のうち三分の一を国内生産にて賄うことが可能となっている。
さらに、排気管、油圧システム、オイルタンク、点火系、ギアなどもタイ国内生産を行っている。
しかし最も特徴的なのが、
タイが生産量で世界一となっているゴムやラテックスを使用したゴムホース、ゴムベルト、ガラスエッジ、タイヤとなっている。
電気自動車生産への支援政策
タイでは2015 年に電気自動車製造推進プランとして「EV アクション」を定め、2021 年まで EV 登録台数を 120 万台、充電
スタンド設置数を 690 カ所とする目標を掲げたが、現在その1%の達成にも至っていない。
その現状を顧みて前述の内閣首相府投資委員会(BOI)は、自動車メーカー各社にタイ国内での生産を促すため、EV、PHV 及
びそれらの部品生産に関する税制優遇制度を導入した。
BOIの承認を受けた EV メーカーは物品税を来年1月から3年間免税される
特に電気自動車の要ともなる(製造コストの30%を占める)バッテリーの製造もタイ国内で行いたいと考えている。
現在BOI承認を受けた場合、一年以内にハイブリット車の主要パーツの一つをタイ国内で生産開始しなければならない。
実は、三年以内には主要パーツの4つをタイ国内生産にするという条件が免税のための条件ともなっている。
主要パーツにはバッテリー、トラクションモーター、ドライブコントロールユニット(DCU)、バッテリー管理システム(BMS)などが含まれる。
タイ国としては今後 EV をはじめとする電気自動車製造の潮流に乗り遅れないために電気自動車製造のためのリソースを蓄え、電気自動車部品の製造分野での成長も視野に入れている点が伺える。